「復興に向け、着実に一歩ずつ」。岩手、宮城、福島の3県人会が11日午後2時から、宮城県人会館で『東日本大震災3周忌追悼式』を行った。震災発生日に合わせた平日開催にも関わらず、約100人が集まり犠牲者に黙とうを捧げた。防災関係者による講習や、各県知事から復興に向けた近況報告も寄せられ、3県は当地からの支援に感謝する一方、復興に向けた着実な成果を報告した。
岩手県人会の千田昿暁会長があいさつに立ち、「未曾有の被害から丸3年。故郷に戻れない苦しさを抱える中での生活が続くが、平穏な日々が1日でも早く戻るよう願う」と述べ、黙とうが捧げられた。
県連を代表しあいさつに立った秋田県人会の川合昭会長は、「復興に立ち向かう姿勢は、同じ東北人として誇りに思う。がんばれ日本、がんばれ東北!」と力強くエールを送った。
そのほか日系団体関係者、在聖総領事館から佐野浩明首席領事、ブラジル国防局からアルミン・ブラウン局長代理もかけつけ、同氏は「自然災害に対する日本の対応力は世界一だと思う。我々は日本から防災を学び、政府は子どもたちへの防災教育を強化している。明るい未来のため、被災地の早期復旧を心から信じている」と願った。
3県知事からの現状報告で岩手県の達増(たっそ)拓也知事は、「水産業の水揚げ量は平年の約7割まで回復。4月には三陸鉄道が全面開通する」と明るい話題を提供し、宮城県の村井嘉浩知事は「今年度までに、災害廃棄物の処理が完了する見込み」と復旧に向け着実な成果を挙げている様子を発表した。
原発事故のあった福島県の佐藤雄平知事は、「風評被害はいまだ根強い」としながら、実証実験が始まった洋上風力発電に触れ、「新たな産業を創出する取り組みも動き出している」と報告した。
震災以降に撮影された被災地の映像が放映され、仮説住宅や復旧が進む港町、被災により雑草の生える宮城県仙台市内、中浜小学校の建物だけが残った同県山元町の様子などが紹介された。
最後に福島県人会の永山八郎会長が各関係者への感謝を示し閉会。宮城県人会の中沢宏一会長は、「帰郷したいという被災者が減る中、女川町は従来の計画から規模を縮小し、復興の成功例とされている。震災前の街から形を変えながらでも、柔軟な復旧が必要だ」と語った。