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北部4州の増水被害拡大=被災者は2万2千世帯に=発電所の環境許可問題も

ニッケイ新聞 2014年3月13日

【既報関連】北部を流れるマデイラ川などの増水が止まらず、ロンドニア州、アクレ州、アマゾナス州、パラー州の被災者は2万2千世帯に及んだと12日付フォーリャ紙が報じた。

ロンドニア州ポルト・ヴェーリョでは、マデイラ川の水位が18・60メートルに達した2月27日に非常事態宣言を出したが、増水はその後も続き、11日には史上最高の19・04メートルを記録。同市では移動手段はボートのみとなった16地区の住民など、1200世帯以上が避難を余儀なくされている。

11日付G1サイトによれば、同州では今年、ネズミの尿などで汚染された水に浸かったりして起きる感染症のレプトスピラ症患者が42人確認されており、今後も州都12地区だけで5万人の患者が発生する可能性があるという。

また、ロンドニア州とアクレ州を陸路でつなぐ唯一のルートである国道364号線は冠水し、大型で重い車以外通行不能で、アクレ州が陸の孤島化。食料や燃料などの輸送は空路や水路によって行っているが、品不足や物価上昇も起きている。

1万3千世帯以上が避難しているアマゾナス州では、マデイラ川流域のアプイー、ウマイター、マニコレ、プルス川流域のカヌタマ、ボカ・ド・アクレ、ラブレア、パウイニ、ジュルアー川流域のエンヴィラ、グアジャラー、イピシュナが2月26日~3月11日に非常事態宣言を行った。タパウア、カラウアリなど6市も警報発令中だ。

マデイラ川はアマゾン川最大の支流で、1992年の大洪水では甚大な被害を出した。だが、12日付エスタード紙によれば、今年の同川の水量は5万5千立方メートル/秒で、92年の大洪水時より20%多い。従来は増水が起きなかった地域で被害が出ているのは雨量が多いせいかも知れないが、8日付G1サイトによれば地域住民の多くは、ロンドニア州内に建設、稼動中のジラウとサントアントニオの両水力発電所が増水を拡大させたと考えている。

鉱山動力省や発電所関係者は環境許可などもきちんと得ており増水とは無縁と言うが、連邦地裁は11日、両発電所に被災地や被災者の支援と、90日以内に発電所建設が環境に与える影響の再検討を命じた。この判決は検察庁や州検察局などの要請に応えたもので、サントアントニオのダム貯水量増量拒否から1週間以内の即決となった。両発電所の建設計画発表時、一部の環境保護論者らは既に、ダム建設後の増水地域は環境許可などを得るために行った事前調査より広域になる可能性ありと指摘していた。