最高裁は12日、国に対し、ジョゼ・サルネイ大統領時代(1985~89年)の経済政策で破綻に追い込まれた航空会社ヴァリグ社に対し少なくとも30億レアルに上る賠償金を支払う命令を下した。13日付伯字紙が報じている。
ヴァリグ社は2006年にGol社に買収されており、会社そのものは消滅した。だが同社は、国の経済政策が同社を破綻に追い込んだとして1993年から裁判所に訴え続けてきた。
財政破綻の直接の原因となったとされているのはサルネイ政権の経済政策だ。この時代、ブラジルは1000%を超えるハイパー・インフレに直面していたが、同元大統領による当時の経済政策、クルゼイロ・プランの影響で、85年10月からコーロル大統領時代の92年1月まで、航空券価格を抑えられてきた。
同社はこのために財政難に陥り、買収直前の2006年には従業員の給料不払いが長期化し、勤続期間補償基金(FGTS)さえ支払われていない状態だった。
12日に最高裁で行われた裁判はカルメン・ルシア判事を報告官として行われ、同報告官の「国の財政との均衡で契約を見直さなかったことは憲法違反にあたる」という見解に大方の判事が賛同し、5対2でヴァリグ側が勝訴した。投票していない他の判事も賛成しており、反対したのはジョアキン・バルボーザ長官とジルマル・メンデス判事のみだった。
まだ上告の機会が残されているため、完全に確定したわけではないが、ヴァリグ側の弁護士は「国が上告するとは思えない」との見解を示している。
弁護側によると、裁判が終り次第、リオの破産裁判所により、支払いの方法や具体的な額が発表されるはずだという。ヴァリグ社は2006年以降、約1万人の退職者や年金生活者がおり、そのうちの700人が既に物故者となっている。
最高裁=国にヴァリグへの賠償命令=経済政策ゆえの破綻と認定
ニッケイ新聞 2014年3月14日