ニッケイ新聞 2014年4月1日
リオ市北部のマレー地区が3月30日に軍警らに占拠され、39番目の平和維持警察隊(UPP)設置のための具体的な平定作業が始まったと3月30、31日付伯字紙が報じた。
420万平米の敷地内にリーニャ・アマレラ、ルーニャ・ヴェルメーリャ、ブラジル大通りの3本の幹線道路が走るマレー地区は、国際空港の利用者やサンパウロ州などから車で来た人々が必ず通る15~16のファヴェーラからなる複合スラム。コマンド・ヴェルメーリャ(CV)と正統第三コマンド(TCP)の二つの麻薬密売組織と警官や政治家などが絡んだ犯罪組織(ミリシア)が、互いの勢力を競い合うという複雑な地区でもある。
また、地区全体が平坦な場所にあるため、同じく複合スラムでUPP設置済みのアレモンやペーニャのように高い所から監視するという方法が取り難い。UPPが既に設置されたアレモンやペーニャなどは、単一の麻薬密売者組織が支配していたという意味でも、様相が若干異なる。
軍警や市警、連警、海軍の射撃兵、計約1500人が海軍の装甲車なども伴って同地区に踏み込んだのは午前5時。だが、警察が踏み込む日が事前に漏れていた事もあり、犯罪者らの抵抗は皆無で、占拠作戦は15分で終わった。
軍警らは450キロの麻薬を押収、13人を逮捕したが、アレモン地区を治めていた通称ペゾンやマンデラのファヴェーラの主だった通称マルセロ・ピロット、リンスの複合スラムの元締めだった通称マレッタというCV首領格3人はパラグアイに逃亡した後だった。これら3人が治めていた地区は皆、3月にUPP襲撃が起きた場所だ。
それ以外のリーダーは市内西部のファヴェーラや山間部に散っており、当地区の治安管理が軍警から軍の兵士に委譲される5日に軍のトラック攻撃との噂も流れている。軍による治安管理は今年後半にUPPが設置されるまでの予定だが、30日午後には、CVとTCPの若手同士の喧嘩が発生。投石などを繰り返した後は銃も使われ、15歳の青年が死亡した。
その後はこれに抗議する住民がリーニャ・ヴェルメーリャを閉鎖し、立ち往生する車を狙う強盗も現れたため、警察が急行。麻薬組織メンバーが高みから銃を発射するなどで、一時はパニックも起きた。警察は同件で27人の身柄を拘束した。
なお、同地区占拠に当たって逮捕された犯罪者は皆、3月27日に同市西部で逮捕された通称メノールPと呼ばれるTCPの首領の部下。警察は30日の作戦の下準備として、先週からCVやTCPに絡む犯罪者の捜索や逮捕を進めており、30日の時点での逮捕者は118人となった。