ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 世界の宝石業界に新風=若手の作品に人気集まる

世界の宝石業界に新風=若手の作品に人気集まる

ニッケイ新聞 2014年4月1日

 宝石を買うならティファニーかカルティエ、そうでなければハリー・ウィンストン―。こんな会話はもう古く、最近は大手ブティックの店頭にも、知名度こそ余り高くないが、洗練されたデザインの商品が数多く並ぶようになっている。
これらの売れ筋商品の多くは、若い新進女性デザイナー達の作品だ。「若い子達はファッション界で何が起きるかを良く知っている」とコメントするのは、バーニーズの副社長でファッションディレクターのトモコ・オグラ氏だ。
服飾業界で名を馳せる同社が、新進女性デザイナーが創る装飾品に店頭のスペースを大きく割いているのは、顧客は自分が着ている服にマッチする美しい商品を求めているのであり、イレーネ・ネウワース、ジェニファー・フィッシャー、ガイア・レポッシといった女性デザイナーの作品が顧客の要求を満たして余りある事を認めているからだ。宝石や貴金属を使った装飾品は洋服や靴といった他の商品を引き立てて店の売り上げを増やすと共に、顧客の満足度も高めてくれる。
若手の女性デザイナー達の作品はインターネットでも売られ、ネット・ア・ポーターと呼ばれる豪華な品をオンラインで扱う店では、「インスピレーションを大切にする人達は知名度の高さにはこだわらない。オンラインでも、本当に自分の気に入った作品を探しに来る」という。
ロサンジェルス在住のスタイリストのエステー・スタンレイ氏は、ジェッシカ・ビエル、ポルチア・デ・ロッシ、レア・ミシェーリといった人達のデビュー作品には新進デザイナーの装飾品を使うよう主張する。
「モデル達は着こなしのよさと華やかさをアピールしなければならないのだから、服から装飾品までを本当に吟味しなくてはならない」というエステー氏は、モデル達はオンラインで品を探す事に慣れており、余り知られていないメーカーの作品だが本当に洗練された小ぶりの宝石を良く使うという。
現在注目されている新進デザイナーの一人はブラジル人のアナ・コウリ氏(33)だ。ロンドンで宝石デザインを勉強したアナ氏は、「宝石は女性の一部となり、自然体であるべきだ」という哲学に基づいて創作活動を行っている。最初に作品を世に送り出したのは2002年の事で、金の葉に似せた指輪や腕輪、細くて長い足のクモのピアスを創作した。
現在のアナ氏はアリシア・キーズのような著名な女優やイザベリ・フォンタナといったモデルも使うティアラの創作者として知られている。「指輪やピアスはそれだけを取り出して見るのではなく、宝石の形がその人の体の線と一体化した姿で見られるべき」との言葉は、アナ氏の哲学が今も息づいている証拠だ。(3月28日付エスタード紙より)