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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年4月4日

 コロニアの政治的な立ち位置は常に保守が多い。例えば自民党支持で愛読誌は『文藝春秋』、当地日系政治家も保守政党が多いという具合だ▼50年前に軍政が始まった時、邦字紙は反政府活動家を「テロリスト」と書いた。軍政支持でなければ廃刊させられるのだから仕方なかった。そんなコロニアの雰囲気ゆえに、家族から活動家が出るのは恥ずべきことで、隠そうとする傾向が強かった▼武装反政府組織ALN活動家だった三宅ダルシさんを取材すると「反政府の日系活動家は約40人いた」と証言した。コラム子が名刺を渡した時、「私が捕まった時、邦字紙には顔写真付きで『テロリスト』と報じたられたわ」と恨めしげな表情を浮かべたのを見てギクッとした▼そんな時代に勇気のある紙面を作った二世がいた。日毎紙のポ語編集長木村ウィリアンらが79年4月に創刊したポ語週刊新聞『パージナ・ウン』(PU)で、当時タブー視されていたアラグアイア事件で軍に殺されたゲリラ「カナヤマ・ユミコ」を第7号で特集した▼PU記者だった大井セリアさんから「当時は一般紙でもあの事件の記事を出すところはなかった。ましてコロニアは軍政の問題には触れたがらなかった」と聞いた▼中林敏彦日毎社長は赤字経営の中で6年間もPUを続け、奇しくも民政移管する直前の84年11月まで持ちこたえた。日語紙面では反政府活動を批判しつつも、本心ではそれに理解があったのか▼中林社長の息子純さんしかり、一百野勇吉編集長の娘も学生運動に身を投じたのは興味深い事実だ。軍政開始50年は、彼らを再評価し、勇気ある行動だったと見直す良い機会だろう。(深)