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超満員の産院に懸念の声=1つのベッドに新生児4人

ニッケイ新聞 2014年4月4日

 ピアウイ州立の産院マテルニダーデ・ドナ・エヴァンジェリナ・ローザは、1カ月に1千人の新生児を扱う同州最大の産院だが、新生児用のベッドが足りず、一つのベッドに最大4人の新生児を寝かしつけるといった苦肉の策が講じられている事を示す写真がネット上に流れた。
ブラジルの公共医療機関では病床数が慢性的に不足しているが、ドナ・エヴァンジェリナ・ローザの実情は、院内感染などの非常事態が起き兼ねないなど、大きな懸念を呼び起こした。
写真を撮影したのは病院職員で、一般病室や集中治療室に移されるまでの子供を預かる新生児室は5床しかなく、一つのベッドに新生児3~4人が入れられるのは当たり前。健康な新生児が病気を持つ新生児と同じベッドに最大3日寝かされるケースもあるという。
同産院の病床不足は深刻で、新生児室が5床、集中治療室も20床しか機能していない。このため、健康な新生児であっても、母親と同じ病室に移る時には病気にかかっている事もある。同産院ではこのような状態が何年も前から続いており、昨年9月にも同様の写真が社会ネットワークに掲載された。
院長のフランシスコ・マルチンス氏はそのような事実はないというが、何らかの対策が必要との考えには同意した。
「新生児室には10床あるが、本来なら新生児はすぐに母親と同じ病室に移すべきだ。だが、手術後の母親が回復室にいる間や、一般病室あるいは集中治療室の空きがない時は新生児室に入れるしかない。問題は産院利用者が集中した時で、現在も稼働率が95%に達しているが、通常なら新生児が新生児室にいる時間は10~15分程だ」という。
だが、写真を見た後のフランシスコ氏は「6件の出産が重なったりする時もあり、一つのベッドに2人を入れる事はしばしばある」と弁を変え、新しい産院を建設しない限り超満員の状態は解消出来ないと釈明した。同氏によると、昨年も州検察局に、市立の産院の患者受け入れ数が増え、問題があるケースだけ送ってくるようになれば、1カ月に扱う通常の出産件数は300件減ると訴えており、2日には州知事に新しい産院建設を再要請したという。(2日付G1サイトより)