ニッケイ新聞 2014年4月5日
特設台所では、2008年の日本人移民百周年時にサンパウロ市各地で料理イベントを行い、現地メディアからも注目を浴びた日系三世のフードコーディネイター・平田マリさんが、サンタカタリーナ産の豚肉を使い、自身が主宰する料理教室の生徒とともに同州の料理を振舞った。
「ごぼう、白菜、豆腐などを使って、日本の食材がこの百年の間に、どれほどブラジル料理に溶け込んでいるかを実演しました」と平田さん。
サンパウロ市の五つ星ホテルではパティシエを務め、日本では和菓子を学んだ。パリの三ツ星レストランで修業を積んで、名門料理学校ル・コルドン・ブルーを主席で卒業。そんな様々な経験を経た今、彼女は改めて母国の料理を再発見し、紹介する意欲に燃えている。
「キンジンはブラジルの代表的なお菓子のひとつですが、元はポルトガルから伝わったもの。ブラジルにはアーモンドパウダーがなかったので、代わりにアフリカから伝わったココナッツを入れるようになりました」。そんな、様々な国の食文化が複雑に混じり合った多国籍性が、ブラジル料理の面白さという。
平田さん流のキンジンは、甘さを控えるため砂糖の代わりに日本の水あめを使う。「甘すぎたり、脂っこすぎたりするブラジルの伝統料理を、おいしさはそのままに、どうやって今の時代の味覚に合うようアレンジするかにも、心を砕いています」と語った。(Mega Brasil取材)