ニッケイ新聞 2013年1月3日付け
平成25年(2013年)の年頭に当たり、ブラジル在住の日系人及び邦人の皆様に謹んで新年のお慶びを申し上げます。
私は、昨年末に外務大臣を拝命いたしました。私の地元の広島県は全国第一の移民送出県であり、日系人の皆様とは少なからぬ御縁を感じております。私は、日本外交の責任者として、その重責を担うに当たり、まず被災地を復興し、震災での経験とそこから得られた教訓を世界と共有すること、更に日本が自信と誇りを持ち、構想力を発揮して、積極的な外交を展開し、グローバルな諸課題の解決に向けて、これまでにも増して国際社会で主導的な役割を果たしていくことが、震災に際して皆様や国際社会から頂いた励ましや御支援に対する恩返しとなり、日本の再生にも繋がると考えています。
昨年10月に開催された第53回海外日系人大会の総合テーマは、「共に歩もう日本再生の道−問われる海外日系社会の課題」でした。大会では、被災地からの特別報告会も行われたと承知しており、日系人の皆様が引き続き我が国の復興に心を寄せていただいていることに、心強く感じました。また、その大会宣言において、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致の応援が盛り込まれたことは非常に喜ばしいことです。日本は、海外の日系人の皆様と日本の方との絆とネットワークを大切にして、この困難に立ち向かっていきたいと思います。
日本とブラジルの間に存在する歴史的な友好関係と強い信頼関係は、まさに日系社会の皆様が、長い期間をかけてブラジルに日本の強みと良さを伝えてくださったことの賜です。政治・経済両面で重要性をますます高めるブラジルは、我が国においても大いなる関心の的であり、その流れは2013年も衰えることがないでしょう。私は、日本の復興のアピールに加えて、日本とブラジルとの更なる交流強化のためにも、皆様のお力添えを得て、全力で取り組んでいく考えです。
最後に、皆様の御多幸と一層の御繁栄を心から祈念しつつ、新年の御挨拶といたします。
平成25年 元旦
外務大臣 岸田 文雄