ニッケイ新聞 2013年1月4日付け
2012年の貿易収支は、コモディティ価格の低下や貿易障壁の増加などのため、前年比34・8%減の194億3800万ドルの黒字で終わり、過去10年間で最悪の結果となったと3日付伯字紙が報じた。
12年の輸出総額は前年比5・3%減の2425億ドル、輸入総額は同1・4%減の2231億ドルで、両者の差である貿易収支は、297億9700万ドルだった2011年を34・8%下回る194億3800万ドルに終わった。
この数字は2002年の131億9600万ドルこそ上回ったものの、労働者党(PT)政権の10年間では最悪の結果だ。また、12年6月にペトロブラスの輸入登録は荷降ろしから50日以内に行なえばよい事になったため、11〜12月に輸入した原油や派生品の価格が加算されておらず、実際の黒字額はより小さくなる。
商工開発省によれば、輸出総額が目標額の2640億ドルを8・1%下回ったのは、コモディティの国際価格の低下や欧州経済危機の長期化、保護主義的な貿易障壁の高まりが主因だ。
コモディティの中でも影響が大きかったのは鉄鉱石価格の低下で、商工開発省では、鉄鉱石価格が下がっていなければ輸出額はあと103億ドル伸びており、輸出総額の落ち込みも1・2%で済んだはずだという。
鉄鉱石価格の低下は、国内需要の拡大に焦点を会わせ始めた中国が鉄鉱石の輸入を減らした事が最大の原因で、中国向け輸出は前年比7%減少。同国向けの輸出総額は412億ドルでブラジル最大の輸出先である事は変わらないが、中国への輸出が1999年以来初めての7%減を記録した事や欧州への輸出が7・7%減少した影響は大きい。
また、中南米最大の貿易相手国であるアルゼンチンが、すべての輸入品目に政府の許可を必要とする輸入障壁を導入した事で、同国への輸出が20・7%減の180億ドルで終わった事も貿易不振の一因となった。
ブラジル政府は貿易上の諸問題は為替が1ドル=2レアル台になれば解消すると見ていたが、実際にはブラジル企業の国際競争力のなさや、鉄鉱石などの少数品目、中国や欧州などの少数市場に依存する体質を改めて露呈する形となった。
そういう意味で、12年の米国向け輸出が3・5%伸びて268億ドルとなったのは明るい材料だが、米国の経済状況も決して安泰とは言えず、亜国の輸入障壁がいつまで続くか、欧州の景気がいつ回復するかといった外的要因の影響が大きい事もあり、商工開発省は今年度の輸出目標額の発表していない。
グローボ局の経済解説者ミリアン・レイトン氏は、亜国などの輸入障壁解除に向けた政府努力の不足も指摘したが、13年の貿易実態改善のためには、官民一体となった市場開発やコスト削減努力が待たれている。