ニッケイ新聞 2013年1月5日付け
パラグァイ中央銀行の最近の見通しでは、2012年の好調な経済動向は新年も続き、パ国のGDP・国内総生産の成長率は、少なくも9・5%に達すると予測している。他方IFM・国際通貨基金は当初予想の8・5%をこの度11%に上方修正した。
なお、中銀は2012年度の経済パフォーマンスについては、2011年度末の旱魃や同時期に発生した2度目の口蹄疫等の問題で、第1次産業部門の収縮を見込んだ当初4月の予想マイナス1・5%の落込みを今回二度目の見直しで、「若し現在の経済上昇機運が順調に運べば、上記2013年度のGDP予想成長率9・5%は基本的指標に過ぎなくなり、更に大幅に上方修正される可能性が充分ある」と報じた。
経済各セクター別の増進では、第1次産業部門の大豆の大豊作により24・9%の成長率が期待される。同じく、第2次産業部門は5・3%の伸びが見込まれ、第3次産業部門は諸サービス業の振興で6・2%の成長率がそれぞれ予想されている。
中銀が示すこのGDP・国内総生産好転の根拠は、想定される2012ー2013農年度の主要農産物の記録的な大増産にある。
なお、チリを始めとする輸出牛肉の国際市場の回復や国債発行による公共土木事業、インフラ整備や建設工事等の政策は大いに国家経済の活性化を促すものである。
一方、需要商品の供給増加と共に消費者信用経済及び投資事業の振興に依り商業は今までになく活気付くであろう。更に永続投資事業の促進を目的とするAFD・開発金融機関 (Agencia Financiera del Desarrollo/ツーステップ・ローンバンク)の資本強化政策は雇用創出の拡大に資するものである。
加えて今回見逃せないグッドニュースとも言うべき関心事は、これ迄に有るとは分かっていながらも、国際石油資本の政略的都合に振り回され、出る物も中々出なかったパラグァイ・チャコの石油資源の開発に政府は今度こそ本腰を入れて取り組む方針を打ち出した事である。
ちなみに、フランコ新政権は去る6月末の発足早々、年末にはチャコの炭化水素資源 (石油及び天然ガス)の開発を開始するであろう事を明言していたもので、この12月4日にはフランコ大統領はピルコマジョ河を境とし、亜国チャコに接するパラグァイ・チャコのピリティ地域(アスンシォン西北約450kmの地点に所在)の油・ガス田開発に当たる米英系メジャーPresident Erergy石油利権会社の地震探査も併せての油田掘削起工式に公式出席した。
そして、その翌日フランコ大統領はPresident Erergy社の招待で同マイアミ本社を一泊二日の日程で電撃訪問に出掛けた。なお、同地ではCNNテレビ局のインタービューにも応じ、パラグァイのポシティブな最近の一般情勢を紹介した。
この会社のコンセッションエリアは凡そ80万ヘクタールに及ぶもので、当初2013年度には深さ4千メートル迄の油田6本を掘る計画である。その原油及び天然ガスは最も良質な物とされ、ピリティ地域だけでもパラグァイ全国15年分の消費量を優に賄える埋蔵量だと云われる。
パラグァイの石油・天然ガス資源開発にはPresident Energy社に限らず他にも多くのメジャーが古くから大いに関心を示しているもので、これが切っ掛けで遠からず石油ブームが起こり、パラグァイが世界の産油国の一員になる可能性は大きい。
パラグァイは今年6月のルーゴ大統領追放の政変で、後継の過渡期を預かる現フランコ政権はとやかくメルコスールやウナスール諸国から爪弾きにされ、面白くもない事ばかりの今日この頃だが、来年の予想経済成長と画期的な石油資源開発の朗報に加えて、更に4月の全国総選挙で次期大統領が選出され、予定の8月15日には国民の期待に値するまともな新政権が誕生すれば、我がパラグァイは万々歳で誠に新年に相応しい目出度い話しである。