ニッケイ新聞 2013年1月9日付け
連邦政府関連事業の支払いが2013年に持ち越された未払い支出は2千億レアルに及び、〃並行予算〃と呼ぶべき存在になっていると7日付エスタード紙が報じた。〃並行予算〃は雪だるま式に膨らみ、本来の予算執行を危うくしている。
翌年以降に支払いが繰り越される未払い支出は「レストス・ア・パガール」と呼ばれ、年々その額が増えているが、非政府団体〃コンタス・アベルタス〃によれば、今年の未払い支出は2千億レアルになるという。
連邦政府の未払い支出は、国際的な負債の未払いなどがあって国際通貨基金(IMF)による財政監視が行われていた2000年代初頭から増え始めたが、2002年から03年に繰り越された未払い支出は200億レアルだった。未払い支出は、歳入を歳出が上回って基礎収支が赤字にならないよう、その年の支出を翌年に繰り越すという苦肉の策だが、この10年で繰越額は10倍に膨れ上がったといえる。
2012年から13年への未払い支出は、2009年から12年の平均増額分153億レアルの4倍近い589億レアル増額。項目によっては当該年度の予算以上の額を支払うケースもある。
端的な例は投資で、12年度予算への計上額は468億レアルだったのに実際に支払われたのは220億レアルで、未払い支出分の払い出しは235億レアル。経済活性化計画(PAC)でも、12度予算計上分支出が182億レアルだったのに、未払い支出分は213億レアル払われた。
13年に繰り越された投資の未払い支出額は735億レアルで、昨年比162億レアル増えており、09〜12年の平均増額57億レアルの約3倍になっている。
13年に繰り越された投資での未払い支出最高額は陸上輸送の77億レアルだが、交通・輸送部門への投資が国内総生産(GDP)に占める割合は2010年以降、0・33%、0・29%、0・22%と減り続けている。
事業が始まっても支払いが停滞するのは、環境許可が出ない場合や連邦会計監査院(TCU)が問題を指摘した場合などだ。未払い支出は議会での審議の対象とはならないため、今年のように予算案の承認が遅れていても支払いが可能だが、支払いが遅れたために予算作成時より材料が値上がりしたなどの理由による経費増大も招く。
年度予算があっても、未払い支出の払い出しやインフレ抑制の必要があるために予算執行が困難になると年毎の予算審議の意味が薄れる上、水増し請求などによる汚職発生にも繋がり、財政全体の管理も困難にする。09年導入の投資継続計画(PSI)では金利の差による過不足調整が必要で、持ち家政策の〃ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ〃向けの補助金未払いなど、会計上は出てこない負債も約200億レアルあるといわれ、景気回復の遅れも含め、財務省の采配振りへの疑問が高まっている。