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テアトロ・ユバ「新たな時代に」=50周年記念フィナーレ=クリスマス公演に1千人

ニッケイ新聞 2013年1月9日付け

 弓場農場(弓場常雄代表)は、昨年12月25、30の両日、劇場創設50周年を祝うイベントのフィナーレとなる『弓場農場クリスマスの集い』を開催した。音楽、バレエ、芝居の3部構成で行われた公演には、近郊やサンパウロ市のみならず、日本やアメリカなどの国外からも観客が訪れ、2日間でのべ1千人が来場した。
 弓場バレエ団の小原明子代表の来伯とともに建てられた劇場は、2011年に創設50周年を迎えたことから、同年12月から1年間を通して、4百人を集めたフェスタジュニーナや、外部から演奏家を招いた音楽の集いなどの記念イベントを行ってきた。
 25日当日の公演前には食事会が開かれた。「子どもの時は毎年弓場に来ていた」という阿部ミリアンさん(49、三世)=在米=は「毎年来れるわけではないので、知り合いとの再会も公演も毎回楽しみ。今回はどんなものかな」と期待を見せていた。
 日も落ち始めた午後7時半ごろ、ピアノの独奏から舞台の幕が開いた。先人を切った弓場茜さんは、軽快で明るいテンポの「春の歌」をリズム良く演奏し、会場からは大きな拍手が沸いた。続いて「虹の向こうに」などの管楽器演奏、定期的に楽器演奏の指導のため弓場を訪れるリオ・プレット室内弦楽によるコンチェルトも披露された。
 第一部の最後には、「弓場を支えた人たち」として、77年に渡って営まれてきた農場の歴史に深く足跡を刻んだ20人が、弓場勝重さんによる似顔絵とともに紹介された。
 第二部のバレエでは初期の作品である「輝かしき開拓者」、過去2回の日本公演でも披露された代表作「ライジング」、そして出演者自らが振り付けを考案した新作「クラウン・クラウン」という毛色の異なる3作が上演され、それぞれが迫力の演技を披露した。
 休憩を挟んで行われた芝居の演目は、2010年に上演され好評を博した「どんとはらい」。日本の民話「こぶとりじいいさん」をモチーフにした作品だ。ポ語字幕つきで笑いあり、踊りありの魅力的な脚本構成に加え、妖怪の衣装やブラックライトによって暗闇に浮かび上がる骸骨などの本格的な演出は、会場を大きく沸かせた。
 最後は出演者全員が舞台に上がって、思い思いに挨拶。記念イベントの締めくくりとなる公演は、大盛況のうちに幕を閉じた。
 小原さんは「素晴らしい公演だった。50年の節目を迎え、テアトロ・ユバの新たな時代が始まった」と笑顔で話した。
 日本から訪れた60代の男性は「知人から聞いてはいたが、これほど凄いものだとは。特にバレエ作品には、弓場の精神のようなものを感じた」と満足げな表情を見せていた。