ニッケイ新聞 2013年1月10日付け
国際ハンドボール連盟は8日、ブラジルのアレッシャンドラ・プリシラ・ド・ナシメント(31)を女子の年間最優秀選手に選出した。9日付伯字紙が報じている。
アレッシャンドラはオーストリア・リーグのハイポ・ニエデロシュテレイヒに所属しており、8日午前の練習を止めた監督から最優秀選手に選ばれたことを知らされた。欧州以外の国の出身者で初めて最終候補5人に残ったアレッシャンドラは全体得票の28%を獲得、前年度受賞のノルウェーのハイジ・レケを4%上回り受賞した。
「最終候補になっただけでもありがたかったのに、その上受賞なんて」と喜びを表現したアレッシャンドラは、2003年からハイポに所属し、ポイント・ゲッターとして活躍。ブラジル代表として五輪に3度出場、12年のロンドン五輪ではブラジルを6位に押し上げた。
ここまでの歩みは容易ではなかった。1981年にサンパウロ州リメイラで生まれたアレッシャンドラの父親はサントスなどで活躍したプロサッカー選手だが、父親が93年に死んで生活苦に陥り、「母は私が練習に行くお金を友人に借りてたし、私もシューズがなく兄のものを使っていた」ほどだった。ハイポ入団後も慣れない寒さとドイツ語に苦労したが、「とにかく先輩のプレーを見て学び、今は自分が見られる立場になった」と語る。
夫のパトリシオさんもチリ出身のハンドボール選手でドイツのリーグで活躍中だが、「夫に以前〃世界一の選手になる気はないか〃と聞かれたとき、〃ありえない〃と答えたけど、今は物事がいい方向に進んでいる」とアレッシャンドラは振り返った。
授賞式は27日にバルセロナで行なわれ、トロフィーと賞金1万ユーロが手渡される。