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リオ=アーティストが焼死=元・共作者による犯行か

ニッケイ新聞 2013年1月12日付け

 絵画や陶芸を手がけるリオ在住のチリ出身アーティストが10日朝、自身が手がけ、観光名物にもなっている階段で焼死体で発見された。11日付伯字紙が報じている。
 ホルへ・セラロンさん(65)の遺体は、リオ市ラッパ地区にある自宅の側にあり、自身がデザインを手がけて観光名所にもなっている色鮮やかなタイルを貼った階段の前で発見された。セラロンさんの顔や肩は既に炭化した状態で、遺体の横には可燃性溶液の缶とライターが見つかった。
 遺体が発見される前、近隣住民は「助けてくれ」と叫ぶ男性の声を耳にしたという。セラロンさんは2カ月ほど前から、周囲に「ある男から脅迫を受けている」と悩みを打ち明けていた。
 脅迫していたとされるのは、セラロンさんのアトリエで共同制作者として働いていたパウロ・セルジオ・ラベーロという男性で、作品の収益の取り分をめぐって対立していた。セラロンさんは自分の死後、ラベーロ氏に財産を悪用されないか心配していたという。12年11月24日には、ラベーロ氏がセラロンさんのアトリエに侵入して作品を次々と破壊したために、セラロンさんは警察に通報した。また、セラロンさんの秘書も12月28日にラベーロ氏に角材で襲われ、顔に火をつけられたという。ラベーロ氏に対する公判は2月20日に行なわれることになっていた。
 ラベーロ氏は、ゴイアス州で麻薬取引と銀行強盗で服役中の人物を兄弟に持ち、セラロンさんの遺体発見現場の階段付近での麻薬取引を取り仕切っていたという。
 セラロンさんは脅迫を受けはじめて以来、周囲に「自殺したい」と語っており、死の前日には最後の別れととれる挨拶を行なっていたとされ、自殺した可能性も残されている。