ニッケイ新聞 2013年1月16日付け
12年9月6日にジウマ大統領が13年初頭から電力料金値下げと発言してから1月10日までの間に、電力会社34社の株式価格は18・03%低くなり、全体で372億3千万レアルの損失を蒙ったと11日付G1サイトや12日付エスタード紙が報じた。
ジウマ大統領が電力料金値下げを発表した時の電力34社の市場価格は総額2064億レだったが、1月10日の市場価格は総額1691億7千万レとなり、18・03%に相当する272億3千万レを損失した計算になる。
市場価格が最も下がったのはミナス・ジェライス電力公社(Cemig)で、284億2千万レが185億6千万レに98億6千万レ、34・67%の損失となった。
その他の会社の損失額は、エレトロブラス93億1500万レ、サンパウロ電力公社(Cesp)41億5900万レ、CPFLエネルジア23億6700万レ、AESチエテ21億9900万レ、パラナ電力公社(Copal)17億4千万レ、トランスミッソン・パルリスタ13億1900万レ、エレトロパウロ12億3千万レなどとなっている。
1月までの損失額が9月時点の市場価格に占める割合が一番大きいのはエレトロブラスの48・46%で、9月時点で192億2千万レだった市場価格は、4カ月で93億2千万レ減じ、99億レになった。
その他の会社の損失率は、アフルエンテ48・15%、Cesp41・4%、Cemig34・6%、エレトロパウロ33・4%、Emae33・3%、Cosern31・1%など。
34社中10社は実際の自己資産額より市場価格が小さく、その差が最大のエレトロブラスの場合、自己資産額は795億8千万レアルなのに市場価格は、12・45%の99億レアルだ。
株式市場の動きは、外国人投資家が不透明さを嫌ってエネルギー部門の株を手放した事も影響しているが、外国人投資家らは、現在のブラジルは2001年よりオプションが豊富なため、当面は節電のための電力カットは起きないと見ている。ブラジルの経済成長率が1〜2%で推移している事も、電力危機への懸念を小さくしている。
ジウマ大統領の爆弾宣言は、生産部門の国際競争力強化のため、一般消費者向けの電力料金を平均16・2%、工業用は最大28%の値下げを行なうというもの。9日にはエジソン・ロボン鉱山動力相が、2月4日から20・2%の値下げ断行を再確認している。
ブラジルの電力の大半は水力発電によるもので、雨の季節到来でダムの水位が回復するまでは火力発電所も稼動させる。ダムの水位低下を生んだ干ばつは電力以外にも影響を及ぼしており、パラナ川では、パラグアイから輸入する品を運ぶ船が動けず、トラックによる陸上輸送を強化しなければならない状況。北東伯やミナス州の農業生産が完全に回復するには、ある程度の時間も必要だ。