ニッケイ新聞 2013年1月16日付け
民主運動党(PMDB)下院リーダーで、2月の下院議長選挙の有力候補のひとりでもあるエンリッケ・エドゥアルド・アウヴェス下院議員が、連邦政府から捻出した資金を自身の膝元である北大河州の市長数人を介して自身の秘書が経営する企業に横流ししていた疑惑が持たれている。13〜14日付フォーリャ紙が報じている。
アウヴェス氏は1971年から42年間下議をつとめる連邦議会の古株で、議会内最多の議員数を誇るPMDBの中でも中心的議員のひとりだ。2月に行われる下院議長選挙では、ジウマ大統領や野党からも支持を得ての当選が有力視されていたが、その直前にスキャンダルが発生した。
13日付フォーリャ紙によると、アウヴェス氏の疑惑は以下のような形で展開された。まず、アウヴェス氏が北大河州内の市の事業として議員割り当て金を利用した計画書を作成し、観光省など、事業に関連する部署にその計画書を提出。計画が承認された時点で事業資金は北大河州内の市に支払われる。市長たちは、1998年からアウヴェス氏の秘書をつとめているアルイジオ・ヅッツトラ・デ・アルメイダ氏が共同経営するボナッシ・エンジェニャリア社と契約し、国からの資金をその会社に流す、というやり方だ。
この方法で、これまで少なくともカンポ・グランデ市、ブレジーニョ市、サンゴンザロ・ド・アマランテ市の市長が、ボナッシ・エンジェニャリア社に、それぞれ少なくとも19万5千レアル、9万2千レアル、19万2千レアルを支払っている。これらの市長はいずれもPMDBの市長であった。
14日付フォーリャ紙によると、ボナッシ社がアウヴェス氏の影響力の強い政府機関から120万レアルを受け取ったという別の疑惑も浮上している。問題の機関は国家統合省の国家干害対策工事局(Dnocs)で、アウヴェス氏はルーラ政権時代から同局内で影響力を持っていた。
アウヴェス氏は2007年に北大河州出身のエリアス・フェルナンデス氏を局長に指名。以来、Dnocsは同州のアウト・ド・ロドリゲス、サンジョアン・ド・サブジ、コロネル・エゼキエルといった、いずれもPMDBの市長を持つ市と干ばつ対策事業の契約を結んでいる。
アウト・ド・ロドリゲスは2010年にDnocs関連事業でボナッシ社と63万レアル、サンジョアン・ド・サブジでも42万レアルの契約を結んでおり、契約はみなフェルナンデス氏がサインしている。フェルナンデス氏は12年1月に汚職疑惑で同職を追われたが、後任局長もアウヴェス氏が指名している。