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ジウマ=14年にらみ北東伯巡り=カンポス氏の影響力恐れ=PACでの信用失墜回避も

ニッケイ新聞 2013年1月19日付け

 ジウマ大統領(労働者党・PT)は、18日の北東伯ピアウイ州を皮切りに北東伯訪問をはじめるが、これは14年の大統領選挙への対策の一部と18日付エスタード紙が報じている。
 ジウマ大統領は3月までに北東伯9州のうち少なくとも6州を訪問する予定だ。表向きの目的は作業が遅れている経済活性化計画(PAC)の視察など。だが、実際は、北東伯を気にかける姿勢を見せ、北東伯で影響力を伸ばしているペルナンブーコ州知事で、14年の大統領選への出馬も噂されるエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)を牽制するためと見られている。
 北東伯は伝統的にPTの地盤で、過去3度の大統領選挙でPTが勝利した決め手となった。12年の全国市長選でも、同地域のPT市長は全体の30%となり、選挙前の24%を超えた。
 だが、州都市長はパライバ州のジョアン・ペッソーアのみで、候補を立てたペルナンブーコ州レシフェとセアラー州フォレタレーザの両市ではカンポス氏のPSBに敗れた。バイア州サルバドール市長となったアントニオ・カルロス・マガリャンエス・ネット氏の民主党(DEM)など、野党の台頭も懸念材料だ。
 加えて、カンポス氏自身も「13年は連邦政府支持だが14年はわからない」と意味深長な発言を行っているため、PT陣営は14年の大統領選がジウマ氏とカンポス氏の争いになることも想定して動いている。PTが3月の全国党大会をフォルタレーザで行うのもそれが理由とされている。カンポス氏には14年にジウマ大統領の副大統領になり18年に大統領選出馬という選択肢もあるが、そうなると、副大統領を擁し、14年選挙でも副大統領候補を出すと約束している民主運動党(PMDB)との関係を危うくしかねない。
 一方、PAC事業の遅れも、人々の信用を失いかねない深刻な問題だ。ジウマ大統領は今回、水不足に泣くセルトン地方の人々に飲用水を届けるパイプラインの落成式とダム建設や灌がい事業をはじめるための文書への署名式に出席したが、北東伯のインフラ整備事業の要であるトランスノルデスチーナ鉄道の現場は訪問しなかった。大統領は同鉄道は13年中に完成と宣言していたが、現時点で完成しているのは20%に過ぎない。
 また、ルーラ前大統領も年間を通じた北東伯行きを検討中だ。ペルナンブーコ生まれのルーラ氏は90年代から積極的に北東伯を訪れ、関係を深めていたが、12年の選挙中は州都を中心とした訪問だったため、13年は内陸部を巡る予定だ。