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〃PACの母〃のイメージ変化=教育と福祉への投資増=道路工事は月に1キロ強=閣僚に目標と結果求める

ニッケイ新聞 2013年1月22日付け

 第一次ジウマ政権前半は、教育や社会福祉への投資が増えた一方、交通網の整備や市街化、水道事業などの投資が減り、〃PAC(経済活性化計画)の母〃のイメージに変化が生じていると20、21日付伯字紙が報じた。

 14年の大統領選で再選を狙うジウマ大統領にとり、これまでの2年間以上に重大な意味を持つのは今年の成果だが、過去2年間を見る限り、〃PACの母〃と呼ばれたジウマ大統領のイメージが変化している。
 ルーラ政権の官房長官時代にPACの総責任を負ったジウマ大統領は、基幹構造(インフラ)を中心とした大型事業で経済を刺激し、成長路線を推し進めるという印象が強かったが、12年度財政支出での交通網整備費は139億レアルで10年比21・9%減。治安も69億レで25・7%、農地改革も25億レで20・5%、市街化と上下水道整備も47億レで19・5%など、平均22%減額となった。
 12年の政府支出(予算消化分)は、国内総生産(GDP)の18%超でこれまでの記録を更新したと見られているが、その中での投資減額はPAC第一主義が変化した事を表している。
 一方、社会福祉にも関連する住居費は、ルーラ政権時代の09年の持ち家政策〃ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ〃に対する補助金支払い本格化で、117億レ(10年比540・4%増)を支出した。
 その他、支出が増えたのは、教育25・4%(593億レアル)、社会福祉24・0%(546億レ)、保健11・8%(766億レ)となっている。
 PAC事業への投資が減った理由の一つは、運輸省や自治省絡みの汚職摘発で、大臣更迭などが起きた事。また、連邦会計検査院(TCU)による工事差し止めや環境許可が出ないなども、事業の停滞と支払い停止を招く原因となる。
 PACの主力事業である国道整備が全国平均で月1・3キロという信じ難いほどの速度でしか進捗せず、国道101号線348キロの複線化は着工から8年経っても未完成なども〃PACの母〃には頭痛の種だ。工事の遅れは経費の膨張にも繋がり、二重の意味で大統領のイメージや評価低下の原因となりうる。
 汚職発覚による事業の遅れや経済の減速化、予算案承認の遅れなどに見る政局運営の不手際が14年選挙に悪影響を及ぼす事を懸念し、ジウマ大統領が労働者党(PT)閣僚らに残り任期の目標の明確化とその結果を求めたとの報道は21日。18日のピアウイー州訪問時にはミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダの家屋の受け渡しも行い、13年は体系的で持続可能な経済成長を遂げると宣言した大統領。昨年発表した交通網整備の大型パックに食指を動かす企業が少ないとされる中、経済成長をどこまで促進できるかが14年選挙の明暗を分けそうだ。