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1月も貿易収支改善進まず=3週で27億ドル赤字=月間では過去最悪の記録=ペトロブラスが帳簿操作?

ニッケイ新聞 2013年1月23日付け

 開発商工省が21日、1月第3週の貿易収支は17億2300万ドルの赤字だったと発表した。22日付伯字紙によると、今月の累積赤字は27億ドルで既に昨年同月の倍以上。輸出入のバランス回復はまだ遠い。

 開発商工省通商局(Secex)によれば、1月第3週までの貿易収支赤字額は、1997年の統計開始以来、最悪の数字だった1998年10月の14億ドルを大幅に上回っている。
 98年は1レアル=1ドルの固定相場制だったが、変動相場になってからの貿易収支で赤字最高だった昨年1月の13億ドルの2倍以上という数字は、明らかに常軌を逸している。月間の貿易収支バランスがこれほど崩れたのは初めてで、最終的な月間赤字額は誰も予想出来ない状況だ。
 1月第3週までの累積貿易額は、輸出が95億ドルだったのに対し輸入が122億ドル。輸出は昨年同期比0・5%減だが、輸入は18・3%増で赤字増大を招いた。
 貿易収支赤字拡大の兆候は1億ドルの赤字を記録した第1週目から表れていたが、週間赤字額はその後も8億7800万ドル、17億2300万ドルと拡大の一途だ。
 輸出の落ち込みは大豆や大豆をひいたカス、原油、米、塩漬け肉といったコモディティ(3・2%が大きく、燃料や耕作機械、車用エンジン、靴、ポンプやコンプレッサーなどの加工品も0・8%減少。唯一販売を増やしたのは、アルミや鉄などの半加工品の6・7%のみだった。
 一方、輸入では、航空機と部品の59・6%増を始め、化学産業製品57・9%、燃料や潤滑油51・9%、薬品類48・0%などの工業製品、有機・無機化学製品25・3%といった工業製品の伸びが大きい。
 開発商工省による貿易収支の発表前に中銀が発表した市場調査Focusの結果は、今年の貿易収支は154億3千万ドルの黒字で終わるという予想になっているが、このままの動きが続けばこの予想も書き換え直す必要がある。
 フォーリャ紙は、1月の貿易収支赤字拡大はペトロブラスの輸出入の実態報告が50日以内でよくなった事で起きた帳簿操作が主因と指摘。ブラジルの貿易収支黒字額が過去10年間で最小だった12年、ペトロブラスは輸出分を急いで申告する一方で輸入分の申告を遅らせるという操作をしたという。1月第3週までのペトロブラス分収支は、燃料や潤滑油の輸入が51・9%増えた一方で原油輸出が63%減となっている。同社の帳簿操作は、12年の貿易収支の赤字転落を防ぐ一方で、年頭の収支バランスを狂わせた事になる。
 工業界の競争力を増すための減免税や輸出業者への税の一部返却といった政策が奏功しない中、国際労働機関(ILO)が、新興国への経済危機の影響はこれからと不気味な予想も発表した。

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