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南大河州=ナイトクラブで大火災=史上2位の231人死亡=バンドの炎の演出が原因=ジウマは国際会議を退出

ニッケイ新聞 2013年1月29日付け

 27日未明、南大河州サンタマリアのナイトクラブ「Kiss」でバンドの演奏中に火災が起き、231人が死亡するという、ブラジルの歴史上2番目に大きな大惨事が発生した。この事態を前にジウマ大統領もチリでの会議をキャンセルして現場にかけつけた。28日付伯字紙が報じている。

 火災の発生は午前2時30分頃、地元サンタマリアのバンド、グリザーダ・ファンダゲイラの演奏中、バンド側が舞台の演出効果として使った炎の打ち上げが天井の壁紙に引火。ヴォーカルが消火器で炎を消そうとしたが火が燃え広がった。
 慌てた観客は急いで逃げようとしたが、炎に気づいていなかった入り口の警備員が喧嘩騒ぎから逃げてきた客だと思い、退場を数分間認めなかった。このときの会場は消灯していた上、炎で電気系統のショートが起きて電気がつかず、多くの人がトイレを出口と勘違いした。これらの要因が逃げ遅れる人の数を結果的に増やしてしまった。
 さらに入り口が一つしかなかったことも、1500人〜2千人と伝えられる観客が逃げるのを困難にした。かけつけた消防隊が壁を破るなどして逃げ道を拡大したが、それでも逃げ切れなかった人は多く、231人が死亡した。死者の90%が窒息死だった。その中にはバンドのアコーディオン奏者やツイッターで火災発生を最初に知らせた女性も含まれている。
 また113人が重軽傷を負い、重傷患者は州都ポルト・アレグレなどの病院に搬送された。この事態に、同州に隣接するアルゼンチン政府も火傷被害者への移植用の皮膚の送付を約束した。パラナ州やリオ州の病院も援助体制を整えた。
 サンタマリアは学生街として知られ、この夜も「Kiss」ではサンタンマリア連邦大学(UFSM)の学生主催のパーティが行われ、栄養学、農学、獣医学などの学生たちが集っていた。
 火災発生後、「Kiss」は市警の取調べに対し、火災防止プランの許可なくイベントを行っていたこと、12年8月に営業許可が切れていたことを明らかにした。また、クラブの定員は1000人なのに、この日は規定を大幅に上回る人数が詰め掛けていた。同クラブ経営者は、業務過失上致死で逮捕された。
 チリのサンチアゴで国際会議に参加していたジウマ大統領は、惨事の報に、会議への継続参加をキャンセルして重症患者を収容したサンタマリアの病院などを直接訪問。政治家としてのキャリアの拠点でもある州での惨事に衝撃を受け、涙をあふれさせた。
 今回のこの事件は、ブラジルでは1961年12月17日にリオ州ニテロイで503人を犠牲にしたサーカス場の炎上につぐ史上2番目の惨事で、南米だけに止まらず、欧米や日本でも大きく報じられている。
 サンタマリア市は30日間、喪に服すことを発表し、UFSMも29日までの休校を発表した。連邦政府も全国で3日間服喪と官報に掲載した。