ニッケイ新聞 2013年1月30日付け
チリの首都サンチアゴで1月26、27日、第1回ラ米・カリブ諸国共同体(Celac)・欧州連合体(EU)首脳会議が開催された。ラ米史上最大級の会議では、両地域の自由貿易化なども話合われたと、27、28日付伯字紙が報じた。
チリのピニェラ大統領が議長を務めた会議は、Celac33カ国とEU27カ国が一堂に会するもの。ラ米とEUの首脳会議は7回目だが、2011年12月発足のラ米・カリブ諸国共同体にとっては、初のEUとの首脳会議となった。
会議は26、27日の開催だったが、途中で帰国する首脳がいるため、サンチアゴ宣言が採択されたのは26日。同宣言では「保護主義の撲滅」や「投資拡大」を軸に、2地域間の通商拡大や外国投資の安全性の保障などが盛り込まれた。
外国投資の安全性保障には、各国の内政上の決定は国際公約や国際義務に則って行われるという外資国有化防止措置が盛り込まれ、外国資本の企業の国有化なども行ってきたベネズエラが文面をもっと柔らかいものにするよう要請したが、通らなかった。
アルゼンチンは、ラ米と欧州の工業化レベルに大きな差がある事などを挙げた上、欧州との自由貿易はメルコスル(南米南部共同市場)での話し合いも必要と主張し、通商拡大に向けた熱意に水を差したとされる。
メルコスルと欧州との自由貿易交渉は6年前から停滞していたが、24日にブラジルで開催されたブラジル・EU首脳会議ではEU側から歩み寄りの姿勢が示され、パラグアイの大統領選挙が終わった後に持たれる7月のメルコスル首脳会議でさらに前進する見込みだ。
EUの首脳達は一様に「最悪の状態は脱した」と述べ、2国間や2地域間の通商活性化を求めており、今後の話合いが待たれている。また、カリブ海諸国が懸念する気候変動にも対策を講じる事が宣言に盛り込まれた。第2回首脳会議は2015年にブリュッセルで開催される。
一方、ブラジル・EU首脳会議後にCelac・EU首脳会議に臨んだジウマ大統領は26日、チリのピニェラ大統領やドイツのメルケル首相、メキシコのニエト大統領と公式会談、アルゼンチンのクリスチーナ大統領とも非公式会談を行った。27日に組まれていたボリビアとリトアニア、アルゼンチン首脳との公式会談は、南大河州サンタマリアで起きた大惨事のためキャンセルされた。
ベネズエラは同会議にマドゥーロ副大統領とビジュガス情報相を派遣。副大統領らはチャベス大統領の署名入り文書を持参し、大統領の肺の感染症は完治したと報告したが、文書の正式な提示は28日のCelac首脳会議の席上まで先送りされた。チャベス大統領はキューバに来たべ国閣僚らに冗談を言ったとも報じられているが、野党側は、文書に署名し冗談が言えるのなら、なぜ国民に直接声を届けようとしないのかと、真偽のほどに疑問を呈している。