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PB問題=CPIが包括案で上院通過=野党の泣き所も調査対象=数の原理で与党がゴリ押し=ヴァルガス下議は窮地に

ニッケイ新聞 2014年4月11日

 【既報関連】労働者党(PT)絡みの疑惑に関する議会調査委員会の設置をめぐり、与党と野党のかけひきが激しくなって来ている。10日付伯字紙が報じている。

9日午前、上院の憲法法務委員会(CCJ)は、ロメロ・ジュカー上議(民主運動党・PMDB)の提案による、ペトロブラス問題などを包括的に扱うCPI設置を承認した。

このCPIは本来、2006年にペトロブラスが米国のパサデナ製油所を不当な高額での購入することを決めた際、同社の運営審議会議長をつとめていたジウマ官房長官(当時、現大統領)ら、PT政権の要人も承認した経緯やその責任、事実関係などの調査を行なうために、野党側が設置を求めていた。

だが、ジュカー上議は、ペトロブラス問題だけでなく、大統領選出馬が有力視されるアエシオ・ネーヴェス氏が党首をつとめる民主社会党(PSDB)が絡んだサンパウロ市地下鉄のカルテル疑惑と、同じく大統領選候補と目されるエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)がペルナンブッコ州知事時代に起きた同州スアペ港を巡る疑惑に関する調査も包括して盛り込むよう提案していた。

野党側はこれを不服とし、8日にはCPIをペトロブラス問題のみに限るよう最高裁に嘆願に出向き、9日のCCJでは投票を放棄して立ち去った。CJJでは、前官房長官のグレイジー・ホフマン氏がアエシオ氏の副大統領候補と目されているアロイージオ・ヌーネス氏と口論する一幕も見られ、ヌーネス氏は「PTはペトロブラス問題をお蔵入りさせようとしている」と批判した。

CPIに関する詳細は15日の上院本会議の審議を経て決まるが、与党側は同日の本会議で審議される上下両院の合同CPIについても、ペトロブラス問題と他の件を包括した委員会とするよう働きかける予定だ。

PTは、CCJでCPIの矛先をずらした上、CPIの対象をペトロブラスに限定するよう最高裁に求めた野党側の嘆願を潰す動きにも出た。9日夕方、アナ・リタ上議(PT)は最高裁に出向き、野党側がCPIの対象とすべきと訴えた内容は事実無根で、ペトロブラス限定のCPI設置要請は選挙絡みの政治的な計画だと訴えた。

一方、下院倫理委員会は9日、現在求職中のアンドレ・ヴァルガス下院副議長(PT)の罷免投票のための手続きをはじめた。同下議は、連邦警察が全国規模で捜査している「ラヴァ・ジャット作戦」の首謀者とされる闇ブローカー、アルベルト・ユセフ容疑者と交友関係にあり、企業と保健省の間の不正契約に関して賄賂の交渉を行なっていたことなども暴露された。PT側は同氏に対する委員会調査を止めようとも試みたが、委員長のリカルド・イザール下議(社会民主党・PSD)により却下された。

ヴァルガス下議の調査の報告官はジュリオ・デルガード下議だ。同氏は2005年、メンサロン事件の首謀者と見なされはじめた、当時の官房長官、ジョゼ・ジルセウ氏の罷免請求を行なった下議でもある。

事件発覚後のヴァルガス氏は党内でも孤立しており、党上層部も議員辞任を望んでいる。