ニッケイ新聞 2014年4月12日
ロンドン五輪代表監督を務めた関塚隆さん(53、千葉)が、イトゥー市主催の『第3回イトゥー市日ブラジル際サッカートーナメント』(3月24~30日)のゲストとして約2週間来伯した。五輪本大会では日本代表を44年ぶりベスト4へ導いた同氏に、ブラジルで感じたサッカー環境の違いや、Jリーグ創立時、五輪代表監督時代を振り返ると同時に、W杯に臨む日本代表への期待を聞いてみた。
来伯は7年ぶりだが、「インフラ整備がさらに充実した」との印象を受けた。有名なサンパウロFCジュニアのコチア施設、今回サンパウロ州選手権で決勝戦に残っているイトゥアーノの施設などを挙げ、「選手寮、練習設備、スタジアムが充実しており、選手がサッカーに打ち込む環境が整っている。日本だと10代の選手は学校に通いながらのため、ブラジルのようにはいかない」と、育成年代における日伯の違いを語った。
「世界ではスペインのバルセロナ、Jリーグではセレッソ大阪の育成が素晴らしく、日本サッカーは初心に立ち返り、選手育成に目を向けるようになっている」との変化も強調した。
ロンドン五輪の代表監督としてチームを率い、4位に導いた。好結果だったはずだが「満足はしていない」と悔しさを滲ませ、「〃もっと上へ〃という目線を選手や世間に持たせることが出来た」と限定的な自己評価を下した。
6月のW杯に関しては「本場南米で久しぶりの大会。それもブラジルで」と期待を膨らませ、「ヨーロッパや前回南アフリカ大会とは違った空気の中で、どんなチームが台頭するか楽しみ」との見所を語った。
日本代表に対しては「予選リーグ突破はぜひとも。8強を目指してほしい。強豪コロンビアとは同組だが1位通過を目指してほしい」と期待した。決勝トーナメント1回戦ではD組のイタリア、イングランド、ウルグァイのいずれかと対戦することが濃厚だ。
「欧州勢との対戦となれば勝ち目がある。ウルグァイとは分が悪いかも」と予想し、「距離が遠いこともあって南米勢とは戦う機会が少ない。個人能力が高い南米勢と試合数をこなし経験値を上げないと」と警告する。「今回の滞在でブラジルサッカーを目の当たりにし、改めてそれを感じた」と経験不足を指摘した。
本番の試合では「日系社会にはぜひ応援してほしい」と願っている。「昨年6月のコンフェデ杯でも日本に対する大きな声援があった。ホームのような雰囲気で戦えるのは心理的にまったく違う。ぜひ日系社会に背中を押してほしい」と応援に期待した。「サッカーにおける世界との距離がだんだん近づいてきた」との実感を述べ、W杯での愛弟子の活躍にも期待を寄せた。