ニッケイ新聞 2014年4月12日
連邦直轄区で10日午後1時頃、白内障の集団検診の現場で組み立て式のテントが崩れ、高齢者10人が病院に運ばれたと11日付エスタード紙などが報じた。
事故が起きたのはブラジリアから26キロのセイランジア市。強い雨と風の中でテントが突然倒壊し、検診や手術を受けるために集まっていた高齢者約400人がパニック状態に陥った。
白内障の集団検診は、連邦直轄区が眼科の施設がない自治体に手術も可能な車両や医療スタッフを派遣して行っていた。連邦直轄区には手術が必要な白内障患者が約3千人いるとされ、同市保健局は、今回の集団検診用に診察用番号札800枚と手術用番号札250枚を配布していた。
同市では8日だけで278人が診察を受け、136人が手術を受けており、10日も、137人が受診し、126人の手術が行われる筈だった。
現場に設置されたテントの一端は手術用の車両などの屋根に支えられる形になり、テント全体が一度に崩れるという事態は避けえた。ぬかるみに足をとられたりして逃げ惑う高齢者達はずぶ濡れになったが、その一部は自動車学校関係者や救急車、バイクで近くの体育館に運ばれた。
体育館では負傷者や血圧上昇などのショック症状を呈した人約150人が医師や看護婦の問診を受け、投薬や傷の手当などを受けた。大半はそのまま帰宅したが、骨折や頭部外傷などの重傷者、心筋梗塞の初期症状を呈した女性など、10人は病院に運ばれた。
事故の原因は現在調査中だが、11日の防災局の発表によると、テント設営後の監査は行われていなかった。事故直後の現場には椅子や鞄などが散乱し、人々が逃げ惑った様子が窺われた。
今回の事故で中断した集団検診は12日から同市体育館で再開される。同検診は当初、15日までの予定だった。