ニッケイ新聞 2014年4月12日
サンパウロ州カンピーナス市に、1994年のワールドカップで優勝祈願をし、それが叶って以来、20年間、何から何までブラジルカラーという弁護士がいる。
ネルソン・パヴィオッチさんは、94年のW杯でブラジルが優勝したら自分の人生を黄色と緑で染めると誓った。この願いは見事に実現し、以来20年間、黄色と緑に囲まれた生活を貫く。
優勝後に着手したのは洋服ダンスの改装で、その中身もズボンやネクタイ、背広に帽子、靴下、下着に至るまで黄色か緑、またはブラジルの国旗が描かれたものという徹底振りで、コップなども含めたブラジルカラーの品物の総数は300点に及ぶ。
W杯への準備も万端で、家の中に飾られている国旗の数は約500枚。装飾その他で既に5千レアル以上を費やした。熱狂振りが高じ、ネイマールやフレッジ、ジューリオ・セーザルといった主力選手を讃える歌も作った。6月のW杯の時期には、スピーカー付の車で自作の歌を流しながら市内を回り、町中の雰囲気を盛り上げたいという。
弁護士として裁判所などに出向く時でさえブラジルカラーにこだわり、他の色は身につけないというネルソンさんは、「もうみんな慣れちゃったよ。結婚同様、死ぬまで続く約束さ」と事も無げに言い放つ。
現在は63歳となったネルソンさんは、妻と2人の子供と共に暮らしており、椅子や絵、テーブルクロス、車のシートカバー、食事に至るまでが黄色と緑、青、白というブラジルカラーに彩られた生活を送っている。
ネルソンさんの誓願が食事のメニューにも及んでいる事は広く知られ、2012年のテレビ番組では、緑のナプキンに黄色のテーブルクロス、ブラジル国旗を象った野菜料理がのる大皿に加え、トウモロコシや黄色のピーマンの黄色にルックラやコウベ・マンテーガなどの緑と白っぽいファロッファを組み合わせた食卓に、茶色みがかかった鶏肉がそっと添えられているという感じの食卓が放映された。
米や卵、黄色や緑の野菜というメニューを取り入れた事で、13キロも体重が減ったというネルソンさん。今の食事は健康的だと太鼓判も押す。
今から既に、今年のW杯もブラジルのものと公言してはばからない。代表チームの試合のチケットは買えなかったと言い、なるべくなら他の人と一緒に観戦出来る方法を探すつもりだ。ネルソンさんが新しい誓願をたてた事は間違いないが、果たしてその内容は?(11日付G1サイトより)