もしや、都市伝説? 今年のヴェージャ紙で、サンパウロ市高級住宅街イタイン・ビビ区のとあるレストランが「おいしくて安いで賞」に輝いたという。同区に安くてうまい店なんて本当に存在するのか? 自分の舌で確かめるべく、忍者ぐるめ隊出動だ!
ズラリと高級な店構えの店が並ぶ同区にあって「Tian」は思いのほかシンプルだ。当地では珍しいアジア料理店。店内に侵入し、「あのう~、アジア料理ってどの地域の料理ですか?」と凡人を装い尋ねると、「タイ、中国、日本。メキシコ風ブラジル料理もあるよ」との返事が返ってきた。いつの間にやらメキシコがアジア入り。これは噂の環太平洋料理か? なんだか怪しいにおいがプンプンだ。
怪訝そうな隊員をよそに、「一皿は少量だけど、皆で分けて食べても構いませんよ」と断る店員。同区の高級イタリア店で「二人で分けたい」と言って嫌な顔されたのが、つい最近のこと。料理を分け合うスタイルを普及しようなんて中々チャレンジャーだ。
タイ風の牛肉サラダやパッタイ(焼きそば)など運ばれてきた料理をつつくなり、不審で曇っていた某隊員の表情が「こ、これは本場の味だ!」と至福に輝いた。
ところがタイ経験のある別隊員は、「本場はもっと辛いよね。日本人が『本場』と思いがちな味だな」と口では冷静に品評しつつ、その手は飢えた落ち武者のごとく料理をかきこんでいた。なんだ美味いんジャン。
代金は4人で360レ也。安くはないが、イタイン・ビビで一人90レなら悪くない。「おいしくて安い」は本当だが「本場の味」ではない―が隊員の結論か。中華や日本食に飽きた人は、ぜひ足を運んでみては。
◆ アジア料理 Tian
【営業時間】正午~午後3時(土は午後4時まで)、午後7時~11時(木~金は午前0時まで)、日曜は正午~午後5時
【住所】Rua Jerônimo da Veiga, 36, Jardim Europa
【電話】11・2389・9399