ニッケイ新聞 2014年4月15日
鉱山動力省と農務省がガソリンに含まれるエタノールの混入率を現行の25%から27・5%に引き上げる事を提言し、連邦政府がそれを承認する可能性が出ている。
この提言は、ガソリンの国際価格高騰などの影響を軽減すると共に、サトウキビ栽培農家を援助するためとされている。ジウマ政権ではもう既に同様の政策を採用し、1年前にエタノール混入率を20%から25%に引き上げている。
混入率引き上げは9日に開かれたエジソン・ロボン鉱動相とネリ・ジェレル農務相との会談で話し合われたもので、エタノールの混入率を27・5%に引き上げれば、無水エタノールの生産量は8・7%増えるという。
燃料価格の上昇はインフレ昂進の一因となるため、何としてもインフレを抑制したい連邦政府が取りうる政策の一つが、ガソリンへのエタノール混入率の引き上げだ。
だが、エタノールの混入率を増やす事は、必ずしもよい結果だけを残すわけではない。
全国自動車工業会(Anfavea)のルイス・モアン会長は、連邦政府から混入率引き上げについての意見を聞かれたが、エタノールとガソリンを自由に取り替えられるフレックス車の場合は問題がなくても、ガソリン車の場合は問題が生じる可能性が高く、認めがたいとの意見だ。
ブラジル国内のフレックス車の割合は増えているが、それでも、全体の38%に当たる1440万台の車はガソリン専用車だ。ルイス氏によると、ガソリン専用車にエタノールの混入率の高い燃料を入れると、エンジンがかかりにくくなる、燃料に触れる部分の部品の腐食が進みやすくなる、ゴム製の部品の耐久性が落ちるといった問題が生じるという。
国家配給公社(Conab)のジョアン・マルセロ・インチニ理事は、混入率引き上げの提言は無水エタノールの生産を拡大する事に繋がるもので、燃料として直接使用する加水エタノールの生産量減少は意味しないという。だが、市場では、混入率引き上げでガソリン価格が抑えられれば加水エタノールの需要が減り、加水エタノールの生産は5・6%程度減るとの見方も出ている。それでも、混入率引き上げ後の加水エタノールの生産量は155億1千万リットルと見られ、128億5千万リットルと予想される無水エタノールの生産量を上回っている。
ガソリンへのエタノール混入率は、国際的な燃料価格やサトウキビの収量予測によっても左右され、2011年10月には25%から20%に引き下げられた。この混入率の20%への引き下げは、それに先立つ2010年にも3カ月間も適用されていた。この時はサトウキビの収量が減り、エタノール価格が上昇していたため、混入率を引き下げる事で加水エタノールの供給量が減少する事を回避するための措置だったが、今年は選挙年のため、国際価格が高騰中のガソリンの国内価格を抑えるための混入率引き上げが検討されており、ガソリン価格が抑えられた上に、温室効果ガスの排出量も2・5~3%減るとアピールされている。(11日付エスタード紙より)