ニッケイ新聞 2014年4月16日
在ブラジル特命全権大使に先月就任した梅田邦夫氏(60、大阪)が10日に来社し、W杯や日伯修好120周年に向けた思いを語った。
学生時代からサッカーが大好きで、日本サッカー協会の国際委員も務める。W杯を目前とした当地就任は、本人たっての希望だったという。息子が所属するサッカーチームのコーチも務めていた関係で、サッカー解説者のセルジオ越後(サンパウロ市出身)に指導に来てもらうなど懇意の仲という。
「Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)ができて、サッカーの虫がうずきだした。僕が来て一番喜んでいるのはサッカー関係者だ」と語る。
W杯を控えた現在の関心事は、「日本代表のベスト8入り」「日本人サポーターの安全確保」「日本のサッカーにブラジルが貢献したと当地に知らせること」の3点。
試合開催地の日系人と協力し、会場に地元(ホーム)のような雰囲気を作って選手を激励し、日本人サポーターの安全性の確保にも努めたいという。すでに現地日系社会が応援グッズを作ったり、日本語がわかる医者を確保したりと率先して動いており、「こんな国はほかにない。サッカー協会の幹部も非常に感謝している」と謝意を述べた。
日伯修好120周年に向けては、「今年にも首脳レベルでの往来を実現したい」とコメント。W杯、リオ五輪という好機も利用し、日本移民や日系人が当地で築いた信用や親日感情などの恩恵を、新来日本人が享受していることを日本に伝え、両国の関係強化につなげたいとしている。
また、関係強化の一つの側面として「若いうちに海外を体験するべき。若者の交流をもっと活性化させたい」と日伯交流にも意欲を見せたほか、中小企業の海外展開などビジネス面においても交流強化の必要性を強調した。
78年に京大法卒、外務省に入省。アジア大洋州局参事官、中国公使、南部アジア部長、国際協力局長等を経て当地に就任。南米での職務は、18年前にペルーのリマで起きた日本国大使公邸襲撃事件後、大使館再建に関わって以来だという。