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工業製品の過剰在庫深刻に=自動車は08年の危機並み=販売・輸出台数落ち込む=中国製品との競争も激化

ニッケイ新聞 2014年4月16日

 IBGE(地理統計院)によれば、1月の工業生産は3・8%増、2月は0・4%増を記録したが、3月は自動車、機械、備品、繊維製品、衣料、履物類などの在庫が適正水準を超える状態が起き、全国工業連盟(CNI)が今年の成長見込みを2%から1・7%に下方修正した。13日付エスタード紙が報じた。

FGV(ジェトゥリオ・ヴァルガス財団)が毎月出している指標によれば、3月は14業界のうち9業界で過剰在庫を抱える企業が増えた。同月は調査対象となる1200社中8・4%で在庫増となった。これは8・5%を記録した2011年10月に次ぐ数字だ。過去5年の平均は3・5%だった。
ある業界が「在庫超過」とみなされるのは、過剰在庫を抱える企業数が業界全体の10%を超えたときだ。自動車と自動車部品メーカーは26・7%で、以下、繊維15・6%、機械14・4%、衣類・履物13・3%となっている。
在庫増が特に著しい自動車業界について、同日付エスタード紙は主に三つの理由を挙げている。一つは、今年の第1四半期の売り上げが昨年同期比2・1%落ち込んだことだ。関係者はローンを組むのが困難になったことや、IPI(工業製品税)減税終了やエアバッグとABSブレーキの搭載義務化などによる価格調整(上昇)で販売不振が起きている。
また、今年第1四半期の輸出台数の昨年同期比32・7%減少は、ブラジル産自動車の80%を輸入している亜国の不況が主な原因だ。トラックに関しては、PSI(投資継続プログラム)と呼ばれる社会経済開発銀行(BNDES)の融資策の導入が遅れている。
自動車業界では国内20社中10社が集団休暇や従業員との労働契約の一時停止、希望退職制度などを採用して生産削減を図っている。メルセデス・ベンツではABC地区で従業員2千人が超過しているという。全国自動車工業協会(Anfavea)によれば、3月末の在庫は、適正在庫の25~35日分を大幅に上回る48日分(38万7100台)で、08年の世界的金融危機時と同水準となっている。
全国自動車部品工業組合(Sindipecas)のパウロ・ブトリ会長は「各業界特有の問題に加え、経済や政治に対する先行き不安がある」とし、工業界の成長は中銀が上げる0・5%はおろか、昨年を下回る可能性もあると見ている。
工業界の在庫超過の原因には経営者層や消費者層の不信感、クレジット利用の減少、金利の高さなどが挙げられるが、最も深刻なのはブラジルの主な輸出先である亜国の長引く不況だ。今年の対亜国貿易収支は、昨年とほぼ同水準の100億ドルの赤字が予想されている。
業界関係者によれば、販売不振に陥っている業界は一般に、輸入品、特に中国製品との激しい競争にさらされているのが現状だ。国内で使用される鉄鋼の場合、2000年は1・4%だった中国産の品が、現在は37・8%まで増えている。