ニッケイ新聞 2014年4月18日
【既報関連】ペトロブラスのパサデナ製油所買収問題について、15日の上院でのグラッサ・フォステル総裁の答弁に続き、16日には下院で、同製油所の買収契約を直接担当していた当時の国際渉外担当理事のネストル・セルヴェロー氏の答弁が行われ、疑惑の書類などのことについて語られた。17日付伯字紙が報じている。
5時間に及ぶ下院での答弁の中でセルヴェロー氏は、2006年にパサデナ製油所を買収した際のいきさつについて話した。それによると、同製油所株の50%の買収は同年の2月2日にペトロブラスの理事会で決定され、翌3日にジウマ大統領が議長をつとめていた当時の経営審議会も満場一致で承認したという。
そして、現在問題となっている、経営審議会のメンバーが目を通したという書類に関し、セルヴェロー氏は「私は誰もだますつもりなどなかった」と答えた。
ジウマ大統領は今年3月、06年の経営審議会に提出された契約に関する技術的な報告書には、当時パサデナ製油所の共同経営者だったベルギーのアストラ・オイル社に有利になる「プット・オプション」と「マルリン」という条項についての記載がなかったとし、グラッサ総裁も15日にそれを裏づけた。
セルヴェロー氏はそれに対し、「プット・オプション」も「マルリン」も石油業界の買収交渉では常識的な契約事項で、400ページある同公社の売買契約の手順書にも書かれていると語り、報告書に記述しなかったことを正当化した。「プット・オプション」は何百件もある同公社の契約ではもっとも一般的な項目のひとつだが、「マルリン」の利益還元率が6・9%と通常より高いことに関しては、ブラジルで採掘される収益率の低い重油を製油するために製油所の70%を使用することを認めてもらうための布石だったと語った。
一方、セルヴェロー氏は契約書の全文を含む全ての書類を送付したのは理事会に対してのみだったと答えた。これは同氏の弁護士エジソン・リベイロ氏が「問題の条項も含んだ書類は、15日前に経営審議会に送った」と語ったのと食い違う。セルヴェロー氏は「経営審議会にも転送されたなら、私には何の非もなくなる」と語っている。
また、セルヴェロー氏は前日にグラッサ総裁が「パサデナ買収は失敗だった」と語ったことに対し、「失敗などではなかった」と反論した。同氏は、同製油所は少なくとも買収当時には非常に重要な計画であったが、2008年に岩塩層下油田の発見と世界的な経済危機が起きたことで会社の方針が変わったから、失敗のように映っているだけだ、とした。
また、グラッサ氏が前日、セルヴェロー氏の国際渉外から子会社への異動には左遷の意味があったと語ったことに関し、「そんな風には思っていなかった」と語った。
セルヴェロー氏の答弁は5時間に及んだが、ペトロブラス問題に特化した議会調査委員会(CPI)発足を目論む野党側にとっては、決定的な新事実などに欠け、不満の残る答弁にもなった。