ニッケイ新聞 2014年4月23日
ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事(PSDB)は21日、カンタレイラ水系から給水を受けている大サンパウロ市圏で、水の使用量が20%増えた住民に対しては、水道料金を30%上乗せして請求すると発表した。適用は5月から。同州内陸部フランカ市での報道陣への取材で明らかにした。22日付エスタード紙などが報じた。
大サンパウロ市圏の47・3%をカバーするカンタレイラ水系の枯渇の危機は、今年の年初から明らかになっている。これまで使用されたことのなかった「未開の水域」と呼ばれる湖底の水の汲み上げを来月から始めると10日に発表されたが、22日時点の水位は11・9%にまで落ちたと同日付G1サイトが報じた。
カンタレイラ水系から水を供給していた地域の一部はアウト・チエテ、グァラピランガ両水系から給水すべく調整され、サンパウロ市東部はアウト・チエテから、南部と西部はグァラピランガからの水の供給が既に行われている。この給水調整によって160万人が他水系からの給水を受けるようになったが、州知事は今回、9月からは南東部への給水にビリングス湖からの水をあてる予定であることを発表した。
ビリングス湖はリオ・グランデ水系の水源で、同水系はサントアンドレ、サンベルナルド・ド・カンポ、ジアデーマの各市(3市で人口160万人、大サンパウロ市圏の人口の7%)に給水する。
州知事の発表によれば、州水道公社(Sabesp)は同水系から毎秒500リットル(以下L)を取水する予定で、人口15万人のサンパウロ市南東部への供給量としては十分とされている。同水系の水位は21日時点で95・6%だった。
同知事は、カンタレイラから水の供給を受けていた地域に別の水系から取った水を供給する方法を今後も拡大させていく考えでいるようだ。
ただし、リオ・グランデ水系の流水量は1秒間に4800Lで、カンタレイラ(1秒間に3万3千L)、アウト・チエテ(同1万5千L)、グァラピランガ(同1万4千L)に比べて格段に少ない。カンタレイラ、アウト・チエテ、グァラピランガの3水系は、大サンパウロ市圏の84%余りを供給している。
なお、Sabespが2月にキャンペーンを開始して以来、大サンパウロ市圏の住民1700万人の内、75%の家庭が水を節約している。特に約半数は20%以上節約し、30%の料金割引の特典を受けているが、その逆に消費量が増えた家庭もあり、罰金適用が決まったようだ。
アウキミン知事は、Sabespが投資を一部凍結して水道料金の5・4%値上げを先延ばしすると決めたことに関し、選挙対策的な意味はないと否定した。一方、給水制限に関しては「必要であれば行う」と発言し、今後の給水制限の可能性がゼロではないことを示唆した。