ニッケイ新聞 2013年12月3日
6日に行なわれる14年サッカー・ワールドカップの組み合わせ抽選会の司会進行役を務めるプレゼンター選出をめぐり、国際サッカー連盟が「黒人差別を行なったのではないか」として物議を醸した。11月28日付エスタード紙ほかが報じている。
6日にバイア州で行なわれるW杯の組み合わせ抽選会で、ブラジルからの進行役として、国際的モデルとして活躍するフェルナンダ・リマと、その夫で自身も俳優のロドリゴ・イルベルトの白人夫婦が選ばれた。
だが11月23日、ヴェージャ誌のサイトでジャーナリストのラウロ・ジャルジン氏が、FIFAは中継を担当するTVグローボが望んだ黒人の俳優・女優を無視して白人夫婦を選んだと報じ、FIFAに対し「人種差別ではないか」との批判が飛び始めた。
TVグローボが推奨したのは、同局が放送した時代劇ノヴェーラの「ラド・ア・ラド」でヒロインの元奴隷の女性イザベル役を演じたカミーラ・ピタンガと、その夫役を演じたラーザロ・ラモスだ。この作品は11月25日に発表された「国際エミー賞」の最優秀テレノヴェーラ賞に輝いた。
そして11月26日、事はブラジルを仕事で訪れていた米国の映画監督スパイク・リーの発言で大きくなった。黒人差別に関する抗議を題材にした作品が多いことで知られる同氏は、この問題に対し「FIFAは視聴者の目を恐れてそういう結論を下したのだろう」と語った。また、その場に同席していたブラジルの人気黒人歌手のセウ・ジョルジも「米国で黒人スターがそういう役を引き受けても今なら問題にならない。ブラジルでは黒人が美の対象になっていない」と批判した。これでネット上などの騒ぎが拡大した。
騒ぎが拡大したことでFIFAは11月27日、「我々は何の差別もしていない」と人種差別を否定した。
当のカミーラは2日付エスタード紙で「騒ぎが一人歩きしてしまった」と語っている。