ニッケイ新聞 2013年12月4日
地理統計院(IBGE)が3日、第3四半期の国内総生産(GDP)は前期比0・5%のマイナス成長(昨年同期比では2・3%増)で終わったと発表した。G1サイトなどによると、第3四半期がマイナス成長となる事は予想されていたが、投資の縮小に懸念が広がっているという。
ジウマ大統領が2012年の経済成長率は1・5%だったと発言してIBGEから訂正されるという失態を犯し、国外からの批判まで出た直後、第3四半期のGDPが前期比0・5%減という、余り芳しくない結果が発表された。
第2次ルーラ政権では年8%台の高成長も遂げたブラジルだが、現政権下の成長率は2011年2・7%、12年も0・9%から上方修正されて1%と振るわず。今年の成長目標は当初、3%台とされてきたが、1〜9月の累積は2・4%、直近4四半期では2・3%で、まだまだ弱含みだ。
7〜9月のGDPが前期比で0・5%減との発表は3日朝。11、12年の経済成長率が振るわなかった事もあり、年頭から充実の必要がいわれてきた投資は、第1四半期4・2%、第2四半期3・6%と伸びた後、12年第1四半期以来となる2・2%という大幅な縮小を記録。投資はGDPの19・1%を占めており、昨年同期の18・7%を上回ったが、関係者の間では、第3四半期の投資縮小で経済の飛躍が困難になる可能性への懸念も広がっている。
また、GDPに占める割合が大きな「サービス」と産業界を牽引するはずの「鉱工業」が共に0・1%の成長に止まり、第1、第2四半期に5・8%と4・2%成長した農業が3・5%縮小した事も、第3四半期のGDP低下の一因だ。但し、今年に入ってからの累計は、農業8・1%、鉱工業1・2%、サービス2・1%の成長となっている。
また、2008年に始まった国際的な金融危機や欧州経済危機などの中でブラジル経済を支えた一般消費は1・0%、公的支出も1・2%の増加に止まった。第1、第2四半期の一般消費は0・1%減と0・3%増、公共支出も0・5%減と0・5%増だから、どちらも上向いては来ているが、GDP低下を防ぐには不十分だった。輸出は前期比1・4%、輸入も同0・1%減少した。
第3四半期の数字を昨年同期と比較した場合のGDPは2・2%成長した。農業は同期間中、オレンジやマンジョッカ、カフェが各14・2%、11・3%、6・9%減産となった事などもあって、1%の成長に止まった。工業は1・9%、鉱業は0・7%成長した。
建設業は昨年同期比で2・4%成長したが、今年の成長率は2%程度と見られ、2・5%という国全体の成長予想を下回る見込みだ。サンパウロ州土建業者組合の渡辺セルジオ会長は「経済は予想した程成長せず、政府への信頼度は低下する一方だ。多くの投資も中断された」と語っている。マンテガ財相は2日に第3四半期の経済活動は冷え込んだと発言していたが、現政権の経済政策への疑問や不振の声は他部門からも聞こえてきている。