ニッケイ新聞 2013年12月6日
6月に全国規模で広まった「マニフェスタソン(抗議の波)」のきっかけは、サンパウロ市で行われた無賃乗車運動(パッセ・リーブレ)による抗議行動だが、一連の抗議行動で最初の逮捕者がでてから今日で半年になる。この間にサンパウロ州警察は、抗議行動絡みで逮捕した人の約3分の1を書類送検したことがわかった。5日付フォーリャ紙が報じている。
同紙によると、サンパウロ州での抗議行動では、6月6日以降10月までに警察に連行され、市警による調書が作成された人(以下、逮捕者)は374人で、調書の数は160件に上る。連行はされたが犯罪行為には加担していないと判断された人は調書をとった後に釈放されたが、犯罪行為を行った証拠や証言がある117人は書類送検された。
一連のマニフェスタソンは、当初から、学生をはじめとした若年齢層が中心となっているといわれており、逮捕者全体の約半分にあたる49%は18〜24歳で、21%に当たる80人がそれ以下の少年層だ。
また、学歴の比較的高い人たちが目立ち、「高卒以上」が逮捕者全体の59%を占めている。その中では「高校卒業」が25%、「大学過程未終了(在学中か中退)」が20%、「大学卒業」が14%となっている。
また、逮捕者の39%が学生で、4%が教員、7%は逮捕時に無職だった。逮捕者の79%は男性、20%は女性で、残り1%は調書からは確認できなかった。全体の半分は白人だが、26%はどの人種か不明だった。
また、今回、警察が犯罪として登録した罪状は「器物破損」が最も多く、以下、「窃盗」「傷害」「物品押収」「組織犯罪計画」が続く。
書類送検は警察が「刑罰に値する」と判断した際に行なわれるが、実際に起訴されるか否かは、捜査の最終結果を州検察局がどのように判断するかによって決まる。弁護士たちは「書類送検は警察による不確かな情報に基づいて行なわれた」と苦言を呈している。調書の76%は警官や市警備隊員の証言に基づいて作成されており、一般市民による証言は4分の1にしか満たない。
このことはマニフェスタソンでの調書作成時の問題点の一つで、州保安局も「騒然となった場面では一般市民の証言を記録することは難しい」と認めている。だが、その一方で「市警や軍警による仕事は合法的に行われている」と語っている。