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タンス預金を孫が持ち出す=22年かけて貯めた5万レ

ニッケイ新聞 2013年12月7日

 アマゾナス州マナウスで、65歳の婦人が22年かけて貯めた5万レアルを、12歳の孫が盗んで麻薬密売者らにばら撒くという事件が起きた。
 母親が亡くなったために養育者を失った孫2人を引き取り、2人の学費や何かあった時のための備えにとタンス貯金をしていた老婦人。18年前亡くなった夫の恩給と家を貸して入ってくる家賃を節約し、22年前から蓄えてきた金は既に5万レアルを超えていた。
 ただ、その金が、身分証明書の不備などで銀行口座を開けないまま、洋服タンスの引き出しの奥に隠した靴箱の中に蓄えられていたために、悲劇が起きた。
 近所の人から、12歳の孫が、友人が服を買ったりバイクを買ったりするのにお金を渡し、銃を買うのも助けたと聞いた婦人は、まさかと思って靴箱を探したが、箱がほとんど空っぽになっている事は手にした瞬間の軽さでわかった。
 気分が悪くなって顔色も変わり、ほとんど失神するばかりの状態で病院に運ばれたという老婦人は、「あの子が携帯電話を手放そうとしないから取り上げて隠した時に、探していてみつけたんだろう」と推測。
 話を聞いた警察は捜査官を派遣し、市内の公園に居た孫を発見。孫と会う約束になっていた14歳、15歳、16歳の3人の仲間も同時に保護されたが、14歳の少年は孫の恋人で、麻薬の密売にも関係していた。
 警察によると、孫は仲間と共にフェスタに行って盗んだ金を使い込んだが、もっと金を持って来いといわれて断ったところ、「全部ばらすぞ」と脅されたという。
 事件を起こした孫とその兄弟の母親は老婦人の娘で、昨年半ばに、元受刑囚の子供達の実の父である夫に頭部を撃たれて死亡した。老婦人は2人の孫をわが子のようにかわいがって育て、孫が21歳になったら2万レアルを受け取れるようにも手配していた。
 「すべてあの子達のためにやってきたのに」と嘆く老婦人の手許には、わずか822レアルしか返って来ていない。警察は、孫達を保護した際、現金と携帯電話1台、バイク1台ならびに服を押収したという。警察は残りの金のありかも探しているが、孫も含む少年4人は少年裁判所で裁きを受ける事になる。(5日付G1サイトより)