ニッケイ新聞 2013年12月7日
ノルウェー在住のブラジル人女性が、離婚した夫との間にできた3歳の娘を同国によって取り上げられないよう、11月28日からオスローにあるブラジル大使館に滞在中と5日付G1サイトが報じた。
ブラジル大使館に身を寄せているのは、ペルナンブコ州出身のヴィトリア・アウヴェス・ジュズマリさん(37)と娘のソフィアちゃん(3)。チリ人を父親に持つソフィアちゃんはサンパウロ生まれのブラジル人だが、幼くしてノルウェーに渡り、父親と共に同国の国籍も取得した。だが、ヴィトリアさんはノルウェー国籍を持っていない。
ヴィトリアさんが夫とのいさかいで離婚した事を知ったノルウェー当局は、現在のソフィアちゃんの養育環境は望ましくないとして、両親の手からソフィアちゃんを取り上げ、同国の公的機関で預かった上で、同国内で養父母を探すべきだという結論を出した。
同国政府からの文書を受け取ったヴィトリアさんは、娘を取り上げられないよう、ブラジル大使館に身を寄せた。これを知ったソフィアちゃんの父親は、ブラジル大使館を訪ねて食料を差し入れたり、ソフィアちゃんと遊んだりしているという。
ヴィトリアさんは娘と共にブラジルに帰りたいと考え、2人分の旅費の工面に追われている。チリ人男性はそれに同意しているという。ブラジル外務省は当面静観する意向だが、現地大使館は、母娘はブラジル人という理由で保護を続けつつ、当局との交渉などにも応じている。