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ニッケイ新聞 2013年12月7日

 レジストロ連載にあるようなUボートの標的にされたブラジル商船は、単なる商品を運んでいたのではなく、ドイツが禁制としていた米軍向け戦略物資を載せた船だったとの説もある。外貨の欲しいヴァルガスとしては、ナチスの目を盗んで少しでも売りたかったに違いない。当時、米国ワシントンにいたブラジル国大使は、米国が日系人を収容所に隔離した政策をブラジルでも実施するようにヴァルガスに働きかけていた(フォーリャ紙08年4月20日)との報道もある。実際に日系人が隔離されたのはトメ・アスーだけだが、この種の対日本移民強硬策の裏には米国の意向がちらつくようだ。
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 サントス厚生ホームの最長入居者には27年間組が2人もいる。ともに90歳を超える高齢者でうち1人は、より医療設備が整った施設への入居が勧められているそうだ。ただ慣れ親しんだ環境、現状の介護設備で事足りていることから、「より専門的な医療設備が必要不可欠となるまで」を目途に受け入れを続けているとか。単に介護技術を高めるだけでなく、個々の事情に合わせたケアが必要なのは日伯共に共通しているようだ。27年住めば〃都〃どころか〃自分の家〃だろう。
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 日系人の再入国問題に関する取材で、「日本企業はいつ辞めるかも分からない人材は雇いたくない」とある業者が話したのが気になった。無責任な労働者に悩まされてきた別の業者も、「契約書があればちゃんと働くはずだけど…」と言いつつも疑いの表情。不景気とはいえ、良質の労働力なら喉から手が出るほど欲しい企業はあるはずだ。日本政府の申請手続き等の煩雑さを嘆く前に、労働者側も反省すべきことがあるのでは。「また働いてほしい」と思ってもらえるような信頼関係を培うこと、それこそが本来の課題かも。