ニッケイ新聞 2013年12月11日
2014年は、ブラジル北部の小売市場にとっては〃熱い〃年になりそうだ。ブラジル全土で唯一ショッピングセンター(以下ショッピング)がないロライマ州にも、来年の12月までに最初のショッピングセンターができるという。
ロライマはブラジル最北端に位置し、人口約47万人と最も人口の少ない州。面積の大半がアマゾンの熱帯雨林に属し、国境を接するガイアナにまたがるロライマ山を擁する場所だ。
コンサルタントのロベルト・ペギー・ピニェイロ氏が小売業を展開するアマゾナス州マナウスでは、消費者の〃抑圧された欲望〃が存在するという。「来年オープンするボアビスタ(ロライマ州都)のショッピングは、巨大なブラジル小売市場がついに未開拓の土地にも到達したことを示すことになる」と話す。
各小売業者は、新たな市場開拓をめざし北部に視線を向け始めているが、その一つの傾向が、パラー州における内陸部への分散だ。経済の中心が州都マナウスのゾナ・フランカ(自由貿易地区)にあり、人口もマナウスに集中するアマゾナス州とは異なり、パラー州では州都ベレンから遠く離れた町にもショッピングができている。
パラー州第6の都市で州都から700キロのパラウアペバス市は、資源大手のバーレ社が大きな鉄鉱石事業を進めるエルドラド・ドス・カラジャス市に隣接する。人口は20万人だが、既に小さなショッピングがある。 州南部の商業中心地であるマラバー市は人口25万人余りだが、最初のショッピングが今年できたばかりだ。大手衣料品店チェーンのC&Aやリアシュエロ、レネー、マリーザなどの北部初の店舗が入っている。
このパラー州での内陸部への商業施設の分散化は、来年も続くという。ブラジルショッピングセンター協会(Abrasce)によれば五つの新店舗が北部にオープンする予定で、そのうちの三つがアナニンデウザ、カスタニャール、パラゴミナスといったパラー州内陸部の町、残りはベレンと前述のボアビスタに建てられる。
同協会によれば、敷地面積約2万5千平米の中小規模のショッピングを建てるには、2億から25億レアルの投資が必要だという。北部では土地は廉価であるものの、建築資材の不足やロジスティックの問題で建設費用がかかるため、全体で必要な経費は他の地域とさほど変わらない。
北部にあるショッピングは国全体の店舗の4%に過ぎないが、事業主らは、ショッピングセンターであればどんな形態の店舗でも流行るとは考えていない。ショッピング・サフィールのパウロ・ステュアート社長は「北部に建てると言っても、南東部や南部と同じ水準の店でなければいけない」との見解を示す。
ボアビスタのショッピング、マナウスの大衆向けショッピング事業に関わる同社長に言わせれば、〃二流の店〃を建てるというメンタリティで参入しても成功しないということだ。
サンパウロ市の高級住宅街シダーデ・ジャルジン区の〃所有者〃ともいえる不動産のJHSF社は、開発が進むポンタ・ネグラ海岸に住むマナウスの高所得者層(クラスA、B)向けに事業を展開している。
この北部へのショッピング進出を警戒しているのは地元小売業者だ。アマゾナス州の小売チェーンBemol、パラナ州を拠点とするブラジル北部最大のスーパーマーケットチェーン、イプシロン・ヤマダ(Y.Yamada)は、顧客を奪われないような対策を取り始めている。
Y.Yamadaの場合は、マラバー市拠点でマラニョン、トカンチンスにも進出する小売チェーン・レオラールと手を組み、州南部の店舗を改装。Bemolの運営店舗は18と多くはないが、収益は10億レを叩き出している。今後は大規模なデパートメントストアのオープンに力を入れるという。(6日付エスタード紙より)