ニッケイ新聞 2013年12月13日
ブラジルの大富豪としてここ数年世界的に話題となっていたEBXグループ会長のエイケ・バチスタ氏が、アメリカの経済誌「フォーブス」最新号が選ぶ「2013年災難だった10人」に選ばれてしまった。
エイケ氏は、2000年代後半頃から、ブラジル経済繁栄の象徴的人物として注目されていた。石油などの資源採掘で知られるOGXペトロレオをはじめとするEBXグループの会長として知られるエイケ氏は、2012年には資産30億ドルで世界の長者番付で7位にランクインするほどだった。
だが、採掘した油田の埋蔵量が思ったほどではなかったなどの事業の失敗が重なり、グループ企業の価値を落として行った結果、30億ドルあったとされる資産はあっという間に減り、13年9月の資産額は9億ドルまで減少。世界長者ランキングでは7位から一気に圏外に落ち、ブラジル国内でも1位から52位へと落ちた。
現在ではOGXの負債だけで112億レアルとされ、それに伴ってエイケ氏の資産はゼロになったともマイナスになったとも言われている。
既にフォーブス誌からは7月に「ブラジル最大の負け組」と称されていたエイケ氏だが、今回の「災難だった10人」にもその凋落の勢いのまま入ってしまった。皮肉にも、この10人につけられたランキングでは、同氏がかつて世界長者番付で記録したのと同じ「第7位」だった。
ちなみに、そのランキングで1位になったのは、人種差別発言を繰り返して行なったことで訴訟を受けていたことが発覚し、それが理由で人気番組の司会を降板させられたアメリカの料理家ポーラ・ディーン氏。選ばれた10人はほとんどがアメリカ人で、エイケ氏以外の非アメリカ人は、コカイン摂取が発覚したカナダのトロントの市長ロブ・フォード氏のみだ。
しかも、今回選ばれた10人のうちのほとんどが、どちらかというと不祥事絡みで入っていることから、エイケ氏の経済的栄華からの転落が世界的に見てもいかに大きなものだったかが伺われる。(12月12日付ヴェージャ誌サイト、エスタード紙サイトより)