ニッケイ新聞 2013年12月17日
翌日は午前8時半から、日本勢3人による「農産品加工講習会」なる料理教室、手芸品紹介が行われた。箱ずし、こんにゃくカツ、即席味噌作り、エコバッグ、三角巾、折り紙でのコマ作りなどをレクチャーし、一同は熱心に耳を傾けた。
ボリビアの池田さん、浅野さんは「帰路でシウダーデ・エステに寄り、フードプロセッサーなど、調理機材を買い揃えたい」、アルゼンチンの林さんは「エコバッグ、頭巾は私たちの地区でも真似できそう」と、それぞれ地元への思いを馳せる。自分たちの日系地区で何ができるかを考えながら学ぶ姿には、強い地元愛が感じられた。
集会の最後には全員で肩を組み、童謡「今日の日はさよなら」を合唱。お互いの絆を確かめ合うように、熱を込めた斉唱には、感極まり涙を流す人も。固い抱擁で再会を誓った。
興奮冷めやらぬうち、日本からの参加者はそれぞれ、「日本が小さく見えた。もっと頑張りたい」(伊藤さん)、「積極的で活発。文化を守る力を感じた。もっと日本人が日本人らしく生きねば」(茂木さん)、「パワーを感じた。人と人のつながりを大切にしたい」(村上さん)と感想を語った。
過去3回全ての集いに参加したADESCの栖原さんは、「これまでは開催地中心の交流だったが、今回は参加国全てに行き届いた素晴らしい内容だった。会場規模もちょうどよく、充実した交流ができた」と笑顔を見せ、パラグァイの前原さんは「意見交換が盛んで、3回目が一番充実していた。何よりも刺激を受け、自国に持ち帰って有意義なものを伝えたい」と意気込んだ。
午後からは、サンジョアキン名物のりんごを使ったジュースと、ワインの工場へ。キズ対策に水流コンベアーを用いたフランス式の大規模設備を始めとした出荷作業や、ワイン貯蔵庫を見学し、6、7本ほどの洋酒試飲を楽しんだ後は、併設される直売店で土産品購入を楽しんだ。
サンジョアキン婦人会からはさらに、りんご、ジュース、ワインをセットにした詰め合わせまで用意されるなど、至れり尽くせりの歓迎だった。
夕方、同地を発つ際には、大きく手を振る地元の見送りを受け、帰路に着いた。「また会おう。そう思っている限り必ずまた会える」そんな言葉を交わしながら—。(おわり、小倉祐貴記者)