ニッケイ新聞 2013年12月18日
国会議員による14年度連邦予算の見直し作業が終わり、17日から予算案審議が始まった。13年度予算案の承認は今年3月で、14年度の予算審議も来年との声もあったが、政府と議会の交渉により年内審議となったと17日付伯字紙や各紙サイトが報じた。
17日に上下両院の合同予算委員会にかけられた予算案は、政府原案に議員らの見直し作業が加えられたもので、その総額は政府原案より121億レ増の2兆4880億レ。13年度予算(2兆2760億レ)比は4・8%増となっている。
議員らの見直しによる増額は13年度220億レ、12年度261億レだが、今回は10年度の147億レ以下で、ここ数年の最低額となった。
予算案中で最も目を引くのは、社会福祉関連の予算拡大だ。サンパウロ州知事選出馬が予定されるアレッシャンドレ・パジーリャ保健相を印象付ける事を目的ともする医師派遣計画「マイス・メジコス」の予算は、13年度の5億4千万レが15億1千万レへ179・6%増。保健省予算は905億レから957億レに増え、国内総生産(GDP)比は8・4%(13年度は6・3%)となった。
また、石油のロイヤルティ問題でも議論が紛糾した公教育の維持と発展のための費用には、税収の18%という最低枠を上回る254億レが計上されている。
ジウマ大統領の看板政策である経済活性化計画(PAC)は、今年度の517億5千万レから617億9千万レに増額。政府原案では632億8千万レだったが、議員達の見直しで25億レ余り削られた。PAC予算の配分が多いのは自治省の216億6千万レで、持ち家政策のミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ(MCMV)には13年比15・3%増の146億レが投じられる。交通運輸部門のPACは148億5千万レ、教育部門が66億レ、国家統合省関連が62億2千万レとなっている。
ルーラ政権から続く生活扶助「ボルサ・ファミリア」は、13年度比15%増の246億レが計上された。同扶助の予算がGDPに占める割合は当初の0・29%から拡大中で、13年度は0・44%、14年度は0・47%だ。ジウマ大統領は16日の社会福祉会議で、ルーラ政権以前の同部門の予算は100億レ程度だったが、現在は680億レと強調した。
14年度予算案は経済成長率を3・8%として作られており、そのまま承認されれば、来年の最低賃金は724レ(政府原案は722・90レ)となる見込みだ。
連邦議会では予算案審議先延べの動きもあったが、年内審議となったのは、ジウマ大統領が議員割当金の全額支出を認める姿勢を示したため。現行の議員割当金は国の正味収入の1・2%の81億レ(各議員1500万レ)とされているが、要請した額が支出される保証はない。来年からは、各議員1380万レに減り、50%以上を保健部門に当てる事が義務付けられるが、確実に支出されるようになる。