ニッケイ新聞 2013年12月19日
昨今は停滞というより減速していると言えるブラジル経済だが、化粧品・美容業界は群を抜く急成長を遂げている。中でも、オーガニック化粧品(自然由来の成分を中心に配合し、化学的な成分を全く、またはごく少量のみ使用して作られる化粧品)が、ブラジルでも存在感を示しつつあるようだ。街を歩いていると、自然派化粧品や食品のお店が目に付く。当地でもこのオーガニック化粧品関連のビジネスをしようという人が増えており、数年での市場拡大を見込んでいる。
アニェンビー・モルンビー大学のアナ・カロリーナ・リベイロ教授は、「人々は今の自分たちの生活、その影響を考え直している。自然派化粧品の流行はその一部」と語り、オーガニック化粧品の流行はブラジルだけでなく世界的な潮流であるとする。「ブラジルでの市場はまだ小さいが、確実に拡大する」と予想する。
企業家のシモーネ・ヴァラダーレスさんは、もともと家族が自然派製品に関する仕事をしていた関係で、オーガニック化粧品のビジネスをすることに決め、2004年に独自ブランド「Reserva Folio」を作った。「最初にこの概念(オーガニック化粧品)に関する話を周りにしたとき、誰にもわかってもらえなかった。でも今は違う。大企業もこの概念を理解し、価値を認め始めている」(シモーネさん)
シモーネさんは14年、今年の50%増の収益をめざす。ビジネスの幅を広げるため、成人女性用の化粧品にとどまらず赤ちゃん用の石鹸、保湿オイル、クリーム、シャンプーなども販売する。「オーガニック製品は原材料が高い。でも他の従来の製品とは違って、質が保証されているという点を強調したい」と意気込む。
企業家のみならず、消費者側の関心も高いことを発見したのは、同じく女性の企業家で、全国6都市で展開する自然派製品の店「カチヴァ・ナトゥレーザ」を経営するローゼ・ベゼクリさん。
第一号店は08年にパラナ州クリチバ市にオープンしたが、最初は、アレルギーがある、何らかの治療を受けているとの必然的な理由で商品を購入していた客が95%で、オーガニック化粧品そのものに関心があって購入していた人は5%だった。ところが、今ではオーガニック化粧品に関心がある人が30%にまで増えたという。
カチヴァ・ナトゥレーザの自店舗は月に平均6万5千レの収益を出しており、フランチャイズ店も8店舗。来年3月までに14店舗まで増やすという目標も立てている。同ブランドのフランチャイズ加盟業者の一人、マリーザ・ドス・サントスさんは、5万レを投資してサンパウロ市にお店を開いた。自身が乳癌を患い、自然派製品に関心を持ったのがきっかけだ。
「経営面のことはまだ始まったばかりだから何とも言えないけど、とにかくお客さんが商品で幸せな気分になって、リピーターになってくれること。感謝されたり新商品を買ってくれたり、時には友達も連れてきてくれる」とマリーザさんは喜ぶ。
関係者によれば、オーガニック製品に関する一般社会での知名度はまだまだ低く、今後の市場拡大には各製品の利点(長所)をより広く知らせていくことが不可欠のようだ。(18日付エスタード紙より)