ニッケイ新聞 2013年12月20日
連邦政府は18日、空軍の次世代戦闘機として、スウェーデンのSAAB社からグリペンNG36機を45億米ドルで購入することを発表した。ブラジルは米国やフランスの企業とも長きに渡って交渉を行なっていたが、高性能の戦闘機を比較的安い価格で手に入れることとなった。19日付伯字紙が報じている。
次期戦闘機として購入するのはグリペンの最新版NG機36機で、最初の購入機は正式な契約書を交わしてから48カ月後の納入で、現時点では2014年中に調印、2018年末頃に納入と見られているが、空軍は前倒しすることを希望している。ブラジルによる支払いは最後の戦闘機が届いた後にはじまる。フォーリャ紙は、納入期間は2016〜23年と報じている。
ブラジルの戦闘機購入は1992年から検討されており、フランスのダッソー社のラファーレや米国のボーイング社のF—18なども候補にあがっていた。グリペンNGも2001年頃から名乗りをあげ、09年にはブラジル空軍が最も欲しがる戦闘機になっていた。
だが、ルーラ前大統領はラファーレを、ジウマ大統領はF—18を好んでいた。ルーラ前大統領は2010年9月7日にラファーレを購入する調印まで行っていた。だがフランス政府が、核問題を抱えたイランとブラジルとトルコが3国核協定を結んだことで難色を示し、話が流れていた。
一方、ジウマ大統領は今年F—18の購入に傾き、10月に予定されていたホワイトハウス訪問時に正式表明することも考えていた。だが、米国の国家安全保障局(NSA)がジウマ大統領やペトロブラスに対するスパイ行為を行ったことが発覚したことで同大統領が態度を硬化させ、報復的意味も込めて破談となっていた。
グリペンNGは、経済的である点で高い評価を受けている飛行機だ。購入費45億米ドルはF—18の75億米ドル、ラファーレの80億米ドルに比べて断然安く、さらに1時間あたりの費用コストも4千米ドルで、F—18の1万〜1万4千米ドル、ラファーレの1万4千米ドルより安い。
さらに飛行速度も時速2124キロで、エンブラエル社のスーペル・トゥッカーノの560キロの約4倍。また、戦闘範囲1100キロは、ラファーレの1300キロには劣るものの、F—18の920キロを上回っている。
この決定に対し、セウソ・アモリン国防相は「空軍と三つのプロジェクトを通じて行なった詳細な分析の結果決めた」とし、「ブラジル政府は最新鋭の技術と十分な安全保証を持つことになる」と語った。空軍の斉藤準一総司令官も「完璧な飛行機だ」と絶賛している。
グリペンNGの問題点としては、実際の戦闘経験がないこと、製造部品の多くをスウェーデン以外の国に頼っていることから納期が守れるか、などがあげられている。