ニッケイ新聞 2013年12月20日
【既報関連】数々のカラオケ大会で優秀な成績をおさめ、当地のテレビ番組などにも出演して話題をよんだ10歳の歌姫国吉メリッサちゃん(三世)は本格的な歌手修行のため、家族総出で9月に訪日した。父ミウトンさん(46、二世)が一時帰国した機会に、有名作曲家の鈴木淳さんへの橋渡しをした南米通信社の尾和義三郎代表と共に、メリッサちゃんの歌手修業の様子を尋ねてみた。
9月初旬に家族で神奈川県へわたり、メリッサちゃんは小学校に編入、学校と歌の練習とで忙しい日々を送っているという。訪日直前の8月、本紙取材に対し、ほとんど日本語が話せなかったメリッサちゃんだが、わずか3カ月余りで学校の友達との会話にほぼ不自由ないほど上達したそう。
メリッサちゃんが日本のテレビ番組にも出演していることから、クラスのほぼ全員が彼女のことを知っていて、転入初日にリクエストに応えて一曲披露し大歓迎をうけた。両親は「日本の学校はイジメが心配」としていたが杞憂に終わった。
当地ではフェイジョン、アロイスしか食べなかったメリッサちゃんだが、今では「寿司、刺身も好物になり、ほとんどの日本食を食べる」とか。「日本の学校は自分で掃除する」などと慣れない習慣に当初は戸惑ったが、今ではすっかり慣れてきたという。
神奈川県中央部から週2回、2時間かけて都心の鈴木淳さんのスタジオにレッスンに通う。朝学校へ行き、午後3時くらいまで授業を受け、夜10時くらいに帰宅後、学校の宿題も欠かさずこなすという生活だ。ミウトンさんは「休む暇もないけれど、歌うことが大好きなので、文句ひとつ言わずに楽しんでいる」と微笑む。
八代亜紀に「なみだ恋」を提供して120万枚の大ヒットさせた鈴木淳さんだけに、厳しい指導で有名だが、メリッサちゃんのことをとても気に入って熱心に教えており、将来は彼女をインターナショナルな歌手に育てたいとの抱負を持っているという。ポ語の歌詞も交えた曲作りにも挑戦中だとか。
すでにオリジナル曲が数曲作られ、来年前半には収録する予定もあるという。デビューの具体的な日程こそ明らかにされていないが、彼女の歌声をテレビなどで聴けるのは、そう遠い未来ではなさそうだ。来年は当地開催のW杯、16年のリオ五輪、その後はさらに東京五輪と続く中で、彼女の歌声が両国の懸け橋となって国際的に響くかもしれない。