ニッケイ新聞 2013年12月24日
アルゼンチン国内で警官のストが広がり、略奪増加に対抗するために銃を購入する商店主が増えている。
警官のストに伴う治安の悪化は今月に入って急速に広がり、3日の夜11時以降は、24県中17県で2千軒を超える商店が略奪被害に遭った。この日は民家を襲った強奪事件も頻発し、少なくとも16人の死者が出ている。
略奪行為に出た人々は新たな商店襲撃計画を立てているともいい、同国内では、暴徒化した人々が商品の略奪や放火といった犯罪行為に及ぶのを防ごうと考える商店主達が、自衛の意味で銃を購入するケースが相次いでいるという。
数十年間、一家を支えてくれた建材や大工道具などの店を暴徒達に襲われ、商品を一切合財奪われた上に放火されたロペスさんも、知人から店が襲撃されたとの報せを受け、100メートル離れた所にある自宅から駆けつけたが、火は既に燃え広がっており、八つあった消火器まで持ち去られたため、消防署に通報する以外方法がなかった。16台の消防車が駆けつけたが、店は全焼し、3日間は煙の臭いが立ち込めていたという。
ロペスさんは、略奪が全国に広がり、小規模な商店も被害に遭った事を受け、小規模商店主達も銃購入などの自衛手段を講じていると明言。銃取扱店では予期せぬ増収に笑いが止まらぬ状況だが、国民はインフレや品不足、治安の悪化にさいなまされる日々が続きそうだ。
アルゼンチン政府はインフレ抑制の意味で商品価格凍結を検討中だが、略奪被害の商店主達は、略奪による被害に加え、品不足や価格凍結による収入源などにも直面する必要が生じている。(22日付エスタード紙より)