ニッケイ新聞 2013年12月24日
セルビアで行なわれていた女子ハンドボールの世界選手権で22日、ブラジル代表が決勝でセルビアを下し、念願の初の世界一に輝いた。23日付伯字紙が報じている。
昨年、アレッシャンドラ・ナシメントが世界最優秀選手に輝き、驚異の9メートル・シュートを決めるウイングのドゥーダなど、ブラジル代表にはかねてから個人技に長けた選手がいた。だが、ロンドン五輪の準々決勝で、優勝したノルウェーからリードを奪いながらも逆転を許し、地元ブラジルでの開催だった前回2011年の世界選手権でも、準々決勝のスペイン戦で惨敗を喫するなど、欧州の強豪に比べ、経験値の低さと勝負弱さが指摘されていた。
ブラジル代表は世界の本場に追いつくべく、オーストリアのチーム、ハイポ・ノーで代表6人を揃えてチームの土台を固め、2009年からデンマーク人のモルテン・ソウバック氏を監督に迎えチームの強化につとめてきた。その間にドゥーダやフェルナンダなど若手の成長もあった。
そうした努力が今大会では実った。ブラジル代表は予選からセルビア、デンマークなどの強豪も含むブロックながら、5戦全勝で快調に予選を通過した。レギュラーに30代の選手が多く持久力が心配もされたが、ブラジル代表は決勝トーナメントでもオランダ、ハンガリーを下し、世界大会初の準決勝進出を果たすと、準決勝でもデンマークを撃破し、決勝に駒を進めた。
決勝の相手は鉄壁のディフェンスを誇り、大会開催国でもあるセルビアだった。だが勢いにのるブラジル代表は、ひるむことはなかった。ドゥーダへのマークがきついとみて脇役のフェルナンダや小柄な伏兵アンナに球をつなぐと、最初の6点はフェルナンダが連続してたたき出すなど、期待通りの活躍を見せた。その結果、22—20で勝利を飾り、初の世界一に輝いた。大会優秀選手にはドゥーダが選ばれた。
大会最優秀キーパーに輝いたバビは、「欧州の選手にはいつも体格や戦略をバカにされていたから、見返すことができてうれしい」と語った。一方、ソウバック監督は「まだ欧州からは10年遅れている」と気を引き締めた。同監督は14年までの契約のため、リオ五輪での指揮は未定だが「私は是非やりたいが協会しだいだ」と語った。