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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年4月25日

 W杯で来伯する日本代表選手団にコロニアから差し入れを申し込んだ件が、どこかの段階で止まっているようだ。日本サッカー協会の主要協賛企業が大手飲料メーカーであり、スポンサー契約絡みとあって、サンジョアキン農協の発泡ワイン差し入れに難色を示しているのか――との推測も聞こえる▼W杯自体が巨大商業イベントであり、スポンサー契約でがんじがらめにされたビジネスだ。「応援の差し入れ」という単純な厚意は通じないことが充分に考えられる。解決策の一つは、聖南西文化体育連盟や文協、農拓協などの「非営利団体」が差し入れ受付け窓口となって、各農協や農家の申し出を複数集め、商品名のない「非営利団体からの差し入れ」という形にした方がいいようだ▼日本側関係者からは「総領事館を通すのも良くない」との声も聞く。総領事館→外務省→文科省→日本体育協会→日本サッカー協会という経路を通って伝えられ、返事もその経路を経て戻ってくるために、時間も手間もかかりすぎる―との意見だった。「差し入れとか歓迎会の話だったら、日本サッカー協会に直接話をしたらいい」と事情に詳しい人物は断言した▼日系社会側としては付き合いのある総領事館につい頼ってしまうが、事と場合によっては直接に日本と連絡を取った方がいいようだ。思えば県人会が母県と連絡をとるのに、いちいち総領事館を通したりしない。外務省を通す必要のない話も現実的には多いだろう▼勘違いしがちだが「日本代表」という存在は国際的だが、スポーツなので所轄は外務省ではない。たかが「差し入れ」とはいえ一筋縄ではいかないようだ。(深)