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TV出演のダンサー死す=銃弾受けて屋根から墜落=抗議行動でも男性が死亡

ニッケイ新聞 2014年4月25日

 リオ市コパカバーナのファヴェーラ、パヴォン・パヴォンジーニョの保育所で22日朝、人気ダンサーのドウグラス・R・ダ・シウヴァ・ペレイラ氏(通称DG、26)の遺体が発見され、同日午後、住民の抗議行動が起きたと23、24日付伯字紙が報じた。

 DGは保育所の奥の高さ約10メートルの壁に囲まれた場所に倒れており、周辺の壁や床には血痕もあった。警察は同日中に墜落死との見解を発表したが、地域では、ゴム手袋をはめた警官が現場に向かい状況証拠を消そうとした、DGは治安維持警察部隊(UPP)から暴行を受けて死亡したという噂が流れた。

 これに立腹した住民は同日午後6時頃から同地域に繋がるトンネルや大通りを封鎖。ゴミやバリケードに火をつけたり投石を行ったりした他、UPP警官らを包囲するなどの行動に出た。抗議行動中、顔を撃たれたエジソン・ダ・シウヴァ・サントス氏(27)が病院に運ばれる途中で死亡した。UPP警官は軍警特殊部隊が救出した。

 市警は23日、遺体には背中から肺を通って右腕に抜けた銃創があり、肺の傷からの内出血が直接の死因で、骨折その他のケガは墜落時に起きたとの鑑識結果を発表した。壁や床の血はDGが立ち上がって歩こうとした際のものだという。

 DGが死亡したとみられる21日深夜から22日未明は、ピットブルと呼ばれる麻薬密売者が同地域にいるとの通報を受けて出動したUPP警官が武装集団に襲われ、銃撃戦を展開している。

 市警では銃撃戦を避けるために屋根伝いに移動しようとしたDGが背面下方から被弾して屋根から落下したと見て、警官の銃を鑑識に回した。現時点では、DGやエジソン氏を襲った弾が警官のものか否かは不明だ。

 DGはレジーナ・カゼ氏司会のグローボ局の番組「エスケンタ」出演中のダンサーで、気さくで明るい人柄が皆に好かれた。友人訪問や所属バンドの練習等でファヴェーラでも顔なじみで、1年前撮影された短編「メイド・イン・ブラジル」では警官に銃殺されるファヴェーラの住民役を演じた。遺体が発見された保育所は、同短編でDGが歩いた道にある。

 パヴォン・パヴォンジーニョは09年にUPPが設置されたが、昨年9月頃からはコマンド・ヴェルメーリョ(CV)らしき麻薬密売者が活動を阻害する動きが見られた上、4カ月前にピットブルが出所。最近の抗議行動はCVが扇動しているとされている。