ニッケイ新聞 2014年4月26日
連邦警察が捜査を進めている「ラヴァ・ジャット作戦」に関し、この10月のサンパウロ州知事選に出馬予定の前保健相のアレッシャンドレ・パジーリャ氏(労働者党・PT)に、同作戦の主犯と関わりがあるとの疑惑が浮上した。25日付伯字紙が報じている。
パジーリャ氏の名前が捜査上に浮上したのは、ラヴァ・ジャットの仕掛け人でパラナ州の闇ブローカーのアルベルト・ユセフ容疑者と、同州選出の下院議員アンドレ・ヴァルガス氏(PT)との間でかわされた携帯電話のメッセージ(SMS)の中でのことだ。
ユセフ容疑者は自身が絡む薬品企業ラボージェンと保健省との間で巨額の不正契約を結ばせようとした際、ヴァルガス氏に贈賄を約束して仲介人になることを依頼し、それに対しヴァルガス氏が交渉に応じた。連警が両者のメールの記録からその様子を突き止めたことは、ヴェージャ誌の報道で明らかになった。
この報道はヴァルガス氏を下院副議長辞任に追い込み、PT内での対場も危ういものにしているが、この話にはさらに続きがあった。ヴァルガス氏は13年11月28日にユセフ容疑者とかわしたSMSで、ラボージェンの役員として、マルクス・セーザル・フェレイラ・デ・モウラ氏を推薦したが、ヴァルガス氏はモウラ氏について、「パジーリャ氏の推薦だ」と記している。モウラ氏は、パジーリャ氏が2011年5月26日~8月1日に保健省で行ったイベントでコーディネイターをつとめていた。
さらに、2日前の11月26日のメールでは、ヴァルガス氏がパジーリャ氏と思われる「パッド」なる人物と話し、ブルーツリー・ホテルのスイートでユセフ氏も交えて会合を持とうとした形跡もうかがわれる。
この疑惑に対しパジーリャ氏は24日、「そういった事実は一切ない」と否定した。連警によると、ラボージェン社は保健省との契約で1億5千万レアルを獲得しようと目論んでいたが、3月にラボージェン社とヴァルガス氏との関係が露見したことで契約は破棄されたため、保健省からは何も支払われていない。
また、ヴァルガス氏とユセフ容疑者のメールからは別のPT所属の下院議員の名前も浮上している。13年9月25日には、両者がブラジリアのカンジド・ヴァカレッツァ下院議員(PT)宅で、「PP」なる人物と会合を持ったと思しき会話を行っている。
この「PP」なる人物は、コーロル大統領時代(1990~92年)に連邦政府の大臣職をつとめ、ラボージェン社とつながりのあるGPI・SA社現職理事のペドロ・パウロ・レオーニ・ラモス氏ではないかと見られている。同氏は今年3月のユセフ容疑者の逮捕の少し前に、同容疑者とヴァルガス氏と会談を行った形跡がある。
昨年9月20日のSMSには、ヴァルガス氏らが、大サンパウロ市圏ABC地区選出のヴィセンテ・カンジド下院議員にもこの計画への参加を要請していた痕跡が見られている。